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短編集・読み切り



「ケツの穴掘られて気持ちイイ?

 さっきから締め付け強くなってるけど」

「そ、なことな、ひんッ…!」


 直接的な物言いを認めたくなくて、認め

てはいけないと思って首を横に振る。

 と、いつの間にか伸びてきた指先が台と

上半身の間に割り込んできてシャツ越しに

胸の突起を捻り上げてきた。

 とっさの鋭利な刺激に一瞬喉が引きつっ

たけれど、そんなこちらの事情などお構い

なしで指の間でしつこくその突起をこね回

す。


「うわっ、コリコリじゃん。

 もしかしてデェスクに擦りつけて感じて

 たの?」

「違うっ。冷たいから冷えただけ…っ」


 デェスク…彼がそう言うからには、今私

が上半身を預けているのは机なのだろう。

 部屋の空気が淀んでいることから普段使

われている部屋だとは思えなかったが。

 しかしまさかそれに自ら胸を擦りつけて

いただろうなんてどうして思いつくのか。


「恥ずかしがらなくてイイって。

 なんたってセンセは初めて男にケツ掘ら

 れて感じちゃう変態だもんねぇ?

 机に乳首押し付けてオナるくらい朝飯前

 なんだろ?」


 事実とはまったく違うのに、青年は見下

した笑い声交じりにそう言って腰を打ちつ

けてくる。

 だがそう言われてゾクッと背中を撫でた

感覚のほうがよほど問題で、それごと否定

したくて強い口調で言い返した。


「かっ、感じてなんかないっ!

 こんなことをして気持ちいいと思う君と

 一緒にしないでくれっ!」

「へぇー?そんなこと言っちゃうんだ?」


 思わず悲鳴のような声で叫んでしまい、

もしかして彼の逆鱗に触れただろうかと心

臓が竦んだ。

 しかし彼は小馬鹿にした口調で返してき

て、ズルリと体内からその肉棒を抜きにか

かる。

 内臓ごと引きずり出されるような感覚に

息を呑んだけど彼の肉棒は本当に先端を残

したまま完全には抜いてしまわないギリギ

リのところで止まった。


「ねぇ、わかる?

 俺の抜かれたくなくて必死に咥えこんで

 るせいで襞が捲れあがってんの。

 それにさっきから気持ちよさそうに腰振

 ってるよね?

 コレはどう言い訳すんの?」


 指摘されて初めて気づいた。

 掻き回され過ぎてすっかりその形に慣れ

ただけだと思っていたのに、抜かれかかっ

たその異物に絡みつくように縁が咥えこん

だまま離さない。

 また腰を打ちつけてくる彼の動きに誤魔

化されてはいたけれど、緩やかな動きでは

あったが無意識のうちに腰が揺れていた。

 これをどう言い訳できるというのか。

 自覚させられて、顔から火が噴きそうだ。

 しかし彼はそれでもまだ言い足りないと

いうように性器…ではなくその下にある袋

の感触を楽しむように揉み始める。


「それにさっきからダラダラ零して糸引い

 てるケド?

 これでも気持ち良くないなんてどの口が

 言ってるの、センセ?」

「ッ…!!」


 穴があったら入りたい、などと生易しい

ものではない。

 穴を掘ってでも隠れてしまいたい。

 そのくらいの羞恥が全身を駆け巡って反

論は形にすらならなかった。





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