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短編集・読み切り





「ミツ、眠いの?」

「んー…」


 レンタルショップで映画を借りて、コン

ビニで食料を買い込んだ。

 帰ってきてテレビを見ながら夕食を食べ

て、交代でシャワーを浴びて。

 先にシャワーを借りたオレはブルーレイ

をセットして新作情報を見ながらソファで

ウトウトしていた。

 小学生の遠足よろしく前日にあまり眠れ

なかったことなんて島崎には言えない。

 家族不在の家にお泊り、しかも島崎と二

人きりで…なんて考えてしまったら目が冴

えてしまい寝不足になってしまった。

 起きなきゃ…と頭のどこかで思いながら

も瞼が持ち上がらない。


「……」


 ……ちゅっ。


 ソファに置いている手に島崎の手が触れ、

沈みかけた意識が浮上する。

 島崎の顔が近づいた気配がして、吐息を

感じるのとほぼ同時に唇に柔らかいものが

触れた。



「…う……ん…?」

「眠い?」

「うん……」


 キスされたのだと理解する前に問いかけ

が降ってきて眠気を払いきれない頭で頷く。

 次いでようやくキスされたのだと理解し

て、何故?という疑問が湧き上がる。


「なに…?」

「いや、眠いならベッド行く?」

「うーん……」


 何か言いたそうなのを押し殺したような

苦笑いで見下ろしてくる島崎をボーっとす

る頭で見上げる。


「…したいのー…?」

「えっ?あ、えっと…」


 間延びした声で尋ねると島崎はあからさ

まにギクッとして視線を泳がせる。

 “したいの?”と尋ねて島崎が仮に“う

ん”と答えたところでやらせてあげようと

は思ってないけど。

 ただ島崎がしたがっているような空気は

子供でも分かるくらい露骨だったから尋ね

るだけ無駄だったかもしれない。

 ダメだ。眠くて頭が回らない。


「その…ミツが眠いなら無理にとは…」


 島崎は口の中でモゴモゴと言い訳をして

いる。

 別に島崎を責めた覚えはないんだけど。


「キス…」

「え?あ、いや、あれはちが…っ」


 あからさまに首をブンブンと振る島崎を

見て、どこの下手くそな演技だと思う。

 誤魔化そうとしてるみたいだけど、言い

訳らしい言葉も出てこないし。

 けれどキスをしてきたのはオレが命令し

たからじゃない。

 それは間違いなく島崎の意志で、許可な

くされた以上は理由を追及する権利がある

はずだ。

 そもそも島崎は口より下半身のほうが正

直なのであって、言い繕おうとしても無駄

な悪足掻きでしかない。


「オレの寝込み襲って、あわよくばケツに

 コレ突っ込もうとか考えてた?」


 むぎゅっ


「あッ嘘ですホント考えてません許してく

 ださいっ」


 パジャマのズボンの前の膨らみを布越し

に掴むと急所を掴まれた島崎は震えあがっ

て弁解する。

 下半身を膨らませて寝込みを襲っておい

て本当に何もする気がなかったなんてある

だろうか?

 少なくともとっさに謝罪を口走ったヘタ

レ島崎には後ろ暗いところがありそうだけ

ども。





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