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短編集・読み切り



「頭、おかしいんじゃないの?

 なんでオレなんてオカズにするんだよ。

 エロ本でもなんでも買ってきて抜けばい

 いだろっ」

「女の子は普通に可愛いと思うけど、エロ

 本とかAVは興味ないし。

 感じてるミツを見てすごく可愛いって思

 っちゃったからしょうがないよね?」


 どの面下げてズリネタ宣言している相手

に同意を求めてるんだと睨んでみたけど、

島崎は爽やかすぎる笑顔を浮かべていて何

のダメージも受けていないようだった。

 救いようのない馬鹿から天然たらしにク

ラスチェンジしたんだろうか。笑えない。


「怯えないで、ミツ。

 ミツが嫌がることはしないから。

 この気持ちがまだどういうものなのかは

 わからないけど、ミツを大事にしたいっ

 て思ってる。

 それで…いつか俺に触られてもいいって

 思ったら、その時は」


 “ミツを抱かせて?”


 優しげな声が吐息と共に鼓膜を擽ったの

は絶対に計算だと思うし、その時に肩が震

えたのは吐息が耳にかかったせいだ。

 でも余裕たっぷりに笑みを浮かべている

島崎はもう一発くらい頭を叩いてやっても

いいと思う。


「島崎の、くせにっ」

「俺だっていつもいつもやられてばっかり

 じゃないよ。

 今日のミツは逃がしちゃったら二度と捕

 まえさせてもらえないと思ったから」


 まるでいつも手加減してやられたフリを

しているんだとでも言いたげだけど、島崎

がバカなのは素だからしょうがないと思う。


「それで返事は?」

「……バカ」


 なんと返そうかと頭を巡らせて、結局認

めることも逆にはぐらかすことも出来ずに

それしか出てこなかった。


「うん。

 俺バカだからちゃんと言ってくれないと

 分からない」


 いつもは拗ねたり落ち込んだりするくせ

に、今日に限ってなんでこんな風に笑って

俺の返事を促せるのだろうか。

 なんだかムカつく…。


「バカ。アホ。変態。

 オレに欲情するような腐れチ●ポなんて

 もげてしまえ」


 島崎が近くて心臓が煩いけれど、だから

ってケツに島崎のブツを突っ込まれてもい

いかって言われたらそうじゃないから。

 指一本であんなに拒否反応が出たという

のに、岡本が突っ込まれていたあのブツを

同じように突っ込まれたら…無理。絶対に

無理。

 そもそも島崎だってオレにケツ穴を弄ら

れて萎えていたくせに、どうしてオレに同

じことを求めるのか。

 俺は岡本のようにドMでもなければ変態

でもない。

 問題なのは島崎にこんなふざけた真似さ

れてるのに心のどこかで喜んでしまってい

る自分がいることと、岡本を介してでしか

オレが好きな島崎の快楽を堪える表情が見

られないことだろうか。


「もげるのは困るって。

 俺だって男だし、いつかミツが嫌がらな

 かったらミツの中に」

「オレだって男だっ!

 ふざけんな、バカッ!」


 噛みつくように睨み上げ殴りつけようと

した。

 相変わらず島崎の手はビクともしなくて

出来なかったけど。





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