悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * 人の少ない壁際で歩いたり滑ったりして 体が慣れてから滑り出すと感覚をだいぶ取 り戻してきて自分の足で滑ることができて 楽しくなってくる。 「もう手繋がなくても大丈夫だから」 「あかん。迷子になったら面倒やし。 何のためにスケート来たと思うてるん」 繋いでいる手にぎゅっと力がこもった。 …まさかただ手繋ぎたかったからとかじ ゃ…ないよな? いつもはもっとすごいことしてるんだ し…。 やることさんざんやってしまったのに、 今更それだけの理由でわざわざこんな人の 多いスケートリンクに連れてきたんだろう か。 でもデートらしいデートは初めてだなと 思ったら新鮮でちょっと照れてしまう。 べ、別に付き合ってるとかいうんじゃな いからデートじゃなくてただ遊んでるだけ だけど! 「俺は手を引かれるより一緒に滑れた方が 嬉しいけど…」 「うん?何か言うた?」 小さく呟いた声はキャッキャッと響く子 供の声に掻き消され、クロードの問いには 首を横に振っておいた。 [*前][次#] |