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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 一人でブツブツ言ってたクロードは置い

てきぼりにしたつもりだったのに、いつの

間にか資料を探す俺の背後に回り込まれて

いた。

 ページを捲っていたら急に白いページに

影が落ち、ん?と思って振り返った時には

もうしっかり背後から腰を抱き寄せられて

いた。


「だからっ、ここ、図書館だってっ!!」


 本当は大声で怒鳴りつけたかったけど図

書館だからそうもいかず、囁き声で精一杯

怒鳴って睨みつけた。


「駆が俺を置いていったりするからやろ?

 駆の身に何かあったらって思ったら心配

 で、な?」


 さも心配してましたという顔と声なんだ

けど、背中越しにぴったりくっついてきて

いる体と本を開いているせいで見えない腰

のあたりでカチャカチャとベルトの音がす

る。

 いくらクロードでもこんなところで…と

は思ったけど、教室でされたことやら前科

はいくらでもあるわけで。

 いい加減にしろとクロードの手を制止す

るためにガッと掴んだタイミングですぐ傍

を見知らぬ人が通り過ぎて肝が冷えた。

 こちらに興味がなかったのか幸い気づか

れた様子はなかったけど、今はただでさえ

夏休みで利用者が多いのだからいつまでも

くっついてたらそれだけでおかしい。


「や、め、ろ!!」


 悪戯が過ぎると拳を握りしめて、それを

そのままクロードの顎の下にお見舞いし

た。


「っ〜〜〜!!!」


 小気味のいい感触がしてクロードが離

れて顎を押さえながら俯く。

 よくよくベルトを確認してみるともうす

でにジーパンのボタンまで外れかかってい

た。

 手の速さだけは呆れるほどに早いなと思

いながら、誰かに見られる前にとさっさと

ベルトを締め直した。


「まったく…油断も隙もない。

 こういうの無しって言ったから、自由研

 究一緒にやろうって話になったんじゃな

 いか。

 約束が違うだろう」


 こんなことならあの2人と3人で、もし

くは1人でやればよかった…と心中で溜息

をついた。

 ら、クロードが恨みがましい視線を送っ

てきた。


「兄や弟には好きなだけ喰わせてやるくせ

 に」

「バッ…!!なっ…!?」


 まるで恨み言のように低く低く呟かれた

言葉にギョッとして、とっさに言葉が出て

こなかった。

 代わりに心拍数が一気に跳ね上がって、

外でもないのに顔が熱をもつ。


「兄弟のよしみで食わせたるんやったら、

 親戚のよしみで俺が食うくらい問題ない

 やろうに」

「そっ、そういうんじゃない!

 ただっ、あれは不可抗力でっ!

 そ、そもそもなんでそんなこと知ってる

 んだ!?」


 バクバク言う心音に負けないくらいの声

量が口から飛び出すと、周囲の利用者から

痛い位の視線が突き刺さった。





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