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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「実は…女の子同士ってどうしたらいいの

 かよくわかりませんの」


 一瞬、聞き間違えかと思った。

 だから言葉を失ってポカンとしてしまっ

た。

 衝撃と驚きと間の後でようやく笑いがく

ると、莉華は拗ねたように頬を膨らませた。


「笑う事ないじゃないですの…」


 笑い声を抑えつつも肩を震わせて笑った

ら、莉華は拗ねた顔でちょっとだけ頬を膨

らませた。

 それは私が昔からよく知っている莉華の

顔で、だからやっぱり目の前にいるのは莉

華なんだと頭が再認識する。

 そして紛れもないその莉華とキスをして

気持ち良いと感じたのだという事も。


「え、だって…。

 莉華、自分から言い出したんじゃない」

「恵の体に触れたかったのは本当ですもの。

 まだ誰も知らないところに触れて、恵が

 気持ちいい顔をするのを見たかったんで

 すわ。

 恵こそ、もっと先まで考えていたんでし

 ょう?」

「う゛っ…」


 笑っていたら図星を突かれた。

 今度はこちらが赤くなる番で口の中でモ

ゴモゴと言い訳する。


「だって…あんなもの書いてるくらいだか

 ら莉華の中ではもうそういうの普通なの

 かなぁって…」

「アレはアレ、コレはコレ、ですわ」


 莉華は“当然じゃありませんの”という

顔をしているけれども、そんなことは言っ

てくれないとわかりません。


「じゃあちょっとずつ、ね?」


 まるで私がして欲しがってるみたいな言

い方になってしまったけれど、莉華のほう

に強引にどうこうするだけの気持ちも知識

もないと知ってしまったら恐怖などどこか

に消えてしまった。

 莉華は本当に純粋に私の体に触れたかっ

ただけなんだろう。

 それも傷つける気など毛頭なく、気持ち

良くなってほしいという願望で。

 …まぁそんな顔を一方的に見られるのは

恥ずかしいけれども。

 再び莉華の唇がゆっくりと降りてくる。

 その唇を受け止めると、繰り返し唇を啄

んできた莉華の唇が開いて濡れた舌先に唇

を舐められる。

 擽ったくて顔を反らすと莉華が唇を尖ら

せた。


「まだ終わってませんわ」

「だって擽ったい…」

「いいから口を開いて下さいな」


 なんでキスなのに口を開くの?と疑問だ

ったけれど、そのあたりは莉華のほうが1

枚上手だったようだ。


「んっ…」


 特に抵抗もなく口内に入り込んできた莉

華の舌が口内の粘膜を舐め回す。

 ぬるりと唾液を纏った舌に舌を舐められ

る感触に驚いて舌を引いても催促するよう

に莉華の唇は離れてくれない。

 耐えきれずに吐息を逃がした隙に舌を浚

われた。


「んっ、ふぅ…っ」


 舌の裏側を舌で撫でられて、頭だけ出し

た舌を吸い上げられる。

 ふわふわと触れるだけのキスだったのに

急にしっとりとしたものに変わって、トク

ンと胸の奥が跳ねた。

 唇の間から溢れそうだった混ざり合った

唾液をコクンと飲み込むとようやく莉華が

唇を離す。


「目が蕩けてますわよ。

 気持ちよかったんですの?」

「う…うん」


 余韻をひくキスにぼうっとしていたら莉

華が嬉しそうに笑うから素直に答えてしま

った。

 冗談でも友達や従姉妹相手にするキスじ

ゃないのに、どうしてこんなに気持ちいい

のか分からなくて戸惑う。





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あきゅろす。
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