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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 “案内してほしい”そう言ったはずの青

年が先に歩き出した。

 フラフラと多少おぼつかない足取りでは

あったが、何も考えられないままその後ろ

をついて歩く。


 なんだ、これ…。

 どうなって…?


 自分が体を動かそうと思って動かしてる

んじゃない。

 誰かに操縦されているような感覚で手足

が動く。

 自分の意志では指一本動かせないまま青

年についていくと、スプラッシュマウンテ

ンのエリアに入る手前でアトラクションと

アトラクションの間にある細い道の先に俺

を先導していく。

 パレードの進行方向とは真逆の方向に誘

導されてはクロードが探してくれていたと

しても俺を探し当ててくれる可能性は限り

なく低い気がする。


 青年が同い年くらいの少女の前で立ち止

まった途端、糸が切れたように膝から崩れ

落ちた。

 膝をコンクリートの上に打ち付けた痛み

と共にようやく何者かのコントロールが解

かれたことを悟る。


「(シャルロット様、お連れ致しまし

 た)」


 毛皮のコートを着た少女に青年が優雅に

お辞儀をした。

 似たような光景をどこかで見たような…

と考える間もなく青年が横へと退き、少女

が一歩前へ出てくる。


「お前がカケル・キリュウ?」


 クルクルとまかれた金髪も透けるような

白い肌も、明らかに日本人のそれではない

のに、その口からは綺麗なイントネーショ

ンの日本語が出てきた。


「誰…?」

「いいから答えなさい!

 お前がカケル・キリュウなのでしょ

 う?」

「そう、だけど…」


 あまりの剣幕に思わず素直に答えると、

ツカツカと歩み寄ってきた少女の手袋をし

た手が俺の顎を掴んで上向けた。





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