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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 しかしクロードは並んでいる人の横を通

り過ぎて歩き続ける。


「こっちでええねん。

 そのためのVIPパスなんやし」

「えっ?」


 きょとんとしていると建物の後方に回り

込んで、“STAFF ONLY”と書か

れた扉を迷うことなく開けた。


「く、クロードまずいって…!」

「ええからええから」


 俺の言葉を無視して進むクロードに仕方

なくついていくと間もなく係員がやってき

た。

 クロードが手首のブレスレットを見せる

と、何故か了解したように頭を下げて「こ

ちらです」と案内してくれる。

 わけもわからないままついていくとちょ

うど滑り込んできた次のコースターに乗る

ように促される。


「ちょ…え?これ、どういうこと?」

「ファストパスって…優先的に乗れるパス

 あるやろ?

 あれの最強版みたいなもんやな。

 ファストの連中よりさらに優先してアト

 ラクションに乗れる。

 誰でも手に入るものやないねんけど、コ

 ネ使ってみたら快くパスくれてん」


 開いた口が塞がらない。

 “VIPパス”…確かに言われてみれば

最優先にしてもらえるなら間違いなくVI

P待遇と言えるだろう。

 でも庶民派な俺にはとてもついていけな

い。

 どこまで“VIP待遇”なのだろう。

 そしてそれを当たり前のようにしている

クロードは本当にどういう環境で育ったの

か。


「これで時間いっぱい、疲れるまで楽しめ

 るで。

 次に何乗るか考えといたほうがええよ」


 クロードがニッと笑うと、ジェットコー

スター発射のアナウンスが流れた。





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あきゅろす。
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