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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 『夢の国』でお馴染みのその遊園地は、

月曜日でありながらもイブということもあ

り大勢の人で埋め尽くされていた。

 俺の左手首には入園前にクロードにつけ

てもらった金色のブレスレット。

 今日一日使えるフリーパスだと言われた

けど、いつからこんな豪華仕様になったの

だろうか。


 しかし園のゲートを入ってすぐ、大きな

モミの木が視界に飛び込んできてそんな疑

問も吹き飛んだ。

 高い天井まで届きそうなほど大きなモミ

の木にはクリスマスの飾りで輝き、人々の

声とクリスマスソングに包まれている。


「ここもか…日本人はなんでクリスマスに

 外出たがるんやろなぁ…。

 ほんまイギリスじゃ考えられへんわ」


 クロードはもみの木よりも人ごみが気に

なるようで、はぁっとため息をついてい

る。


「そんなこと言っても…。

 イギリスじゃ違うかもしれないけど、日

 本だと大切な人と過ごす日だから」

「大切な人、か…」


 クロードのしかめっ面が崩れたと思った

ら手を握られていた。


「あ、えっと、そうだけどそういう意味じ

 ゃなくて…!」

「ええやん、ええやんっ。

 ほら、はよ行かな何にも乗れんまま終わ

 ってしまうで〜」


 俺の手を引っ張ってぐいぐい進むクロー

ドは俺の訂正を聞く気などないのだろう。

 鼻歌でも歌い出しそうな顔で先に進んで

いく。

 その顔を見ながら俺は複雑な気持ちにな

っていた。


「あ、あれ?

 入り口はそっちじゃなくて…」


 クロードが選んだのは宇宙空間を駆け抜

けるジェットコースターのアトラクショ

ン。

 園内でも人気の上位を攫うであろうこの

アトラクションは何時間待ちかなと思うほ

ど長蛇の列だ。





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