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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「今日、楽しくないん?」

「そんなこと…ない」


 暖かい車内に移動するとクロードは俺の

指に指を絡めてきた。

 その指を緩く握り返しながら問いかけに

首を横に振る。


「じゃあ何が気になってるん?」

「………」


 言えない。

 言いたくない。

 問題は自分の体質だなんて…どうしよう

もないことを言ってせっかくのクリスマス

の楽しい空気を潰したくない。

 クロードの言葉を信じきれないなんて言

いたくない。


 恋人にはなれなくても、せめて友達とし

て傍にいたい…。


 クロードの気持ちを知りながらそう思っ

てしまうのは我儘だろうか。

 大切なクリスマスに一緒に居ながら、そ

んなことを願ってしまうのはズルイだろう

か。

 胸の奥からドロリと濁った感情が溢れ出

す。

 こんな汚い気持ちを自分が持っているな

んて今まで知らなかった。


 下唇を噛んでいると繋いだ手をそのまま

持ち上げて俺の指にそっとクロードの唇が

触れた。


「駆、思ってることちゃんと言うてや。

 教えてくれへんと俺どうすることもでき

 んし。

 今年は駆にとって最高のクリスマスにし

 たいねん」


 俺の為にと考えてくれるクロードの唇は

祈るようで、その対極にいる俺には胸が苦

しくなるばかりだ。





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あきゅろす。
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