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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*




「ふふっ、感じやすいんですのね」

「そういう事、言わないで…」


 すっかり上機嫌な莉華に唇を尖らせる。

 一枚一枚丁寧に脱がされ、あれはこれは

と尋ねる莉華に素直に答えていたまではま

だ良かった。

 いや、本当は普段の自慰の仕方や莉華の

愛撫をどう感じるのか尋ねられるのはとて

も恥ずかしかったけれど。

 でもそれは莉華にどこをどうすれば感じ

るのか教えてしまうのと同じで、すっかり

コツを掴んだ莉華にもう何度もイカされて

しまっている。

 それなのにそれを感じやすいと形容され

るのはちょっと違うと、思う。

 嫌とかいうのとは違って、ただただ一方

的に何度も絶頂に追い上げられるのは恥ず

かしくて堪らなかった。


「莉華は?」

「私、ですの?」 

「うん。

 あたしばっかり…こんなのズルイし」


 手を伸ばして手探りで莉華のパジャマの

ボタンを探す。

 莉華のパジャマのボタンを外してナイ

トブラのフォックを外すと莉華も服を脱

がせるのを手伝ってくれた。

 ベッドに体を横たえた莉華の胸に手を伸

ばして慎ましいその膨らみを両手で包み込

む。


「恵がしたいようにしていいんですのよ。

 嫌だったらちゃんと言いますから」

「うん…」


 いざ無防備に体を開かれると自分がこの

後どうしたいのか、本当にこのまま進んで

しまっていいのかを一瞬見失いかけて戸惑

う。

 けれど伸びてきた莉華の腕に抱き締めら

れて、妙な安心感を覚える。

 それはあたしが一人でないのだと教えて

くれるようで、今は自分がしたいと思うよ

うに動いていいのだと許容してくれるよう

でもあった。


「いいですわよ、恵…」

「ん」


 莉華が私に尋ねたのと同じように、莉華

は探り探りのあたしにどこをどうしたら気

持ちいいのか教えてくれる。

 それを一つ一つ辿ると次第に莉華の吐息

が乱れてきて、余裕が失われていく。

 今まで知らなかった莉華の一面を見てい

るのを自覚する一方で、あたしの愛撫で体

を熱くする莉華の様子は人形のような愛ら

しさとはまったく違い背中に隠していた透

明な羽根を広げる蝶のような艶やかさがあ

った。

 そしてそんな莉華な艶姿を見て今までと

は違う興奮でドキドキと高鳴る心音を自覚

する。

 キスから始まった全てはまるで夢みたい

なのに、夢より何倍も熱く生々しい。

 新しい感覚を服を一枚ずつ脱がされるよ

うにして露わにされていくような錯覚をず

っと起こし続けていた。


「夢より、ずっといいですわ」


 まるで考えていることを読まれたみたい

なタイミングで莉華が口走ったのでドキッ

としたけど、すぐにそうではないと思い直

す。


「夢ってどんな夢?」


 まさか莉華はあたしとこうなることを夢

に思い描くほど渇望していたのだろうか。

 それともベッドの中で夢に見るほど無意

識に追い求めていたのだろうか。


「記憶を失ったアリスがハートの国の女王

 と城で末永く一緒に暮らす夢ですわ。

 でも“アリス”はこんな風に自分から触

 れてはくれませんでしたけど」


 ふふっと莉華は明るく笑って私の手を自

分の股間に誘う。

 私の指先が莉華のぬめりを感じるのとほ

ぼ同時に身じろぎした私の体の奥で溜まっ

ていた露がじんわりと一筋襞の奥から零れ

る。

 先程莉華に何度も絶頂させられた余韻を

感じて羞恥が背筋を駆け上がる。

 そんなあたしの割れ目に莉華の指先が伸

びてきた。


「莉華、まだ私が…っ」


 莉華にさっきのように触られたらたま

らない。

 また一人だけ上りつめてしまうと首を

振るけど、すっかり莉華の指先に可愛が

られたその場所は奥へ潜り込んでくる莉

華の指をあっさりと呑み込んだ。


「今度は一緒に、ね?」


 莉華は口調こそ尋ねる調子だったけれ

ど、キスであたしの唇を塞ぎながら指先

で露を絡めとって卑猥な音を響かせなが

らすっかり緊張の解けたそこを掻き回す。

 体の奥を掻き回す莉華の指をキュンキ

ュンと締め付けながら莉華に教わった通

りに莉華の体内の奥まで埋めた指を何度

も出し入れする。

 濡れた音と熱い吐息と体温が混じり合

う。


「上手ですわよ、恵」


 呼吸が荒くなっていく莉華の指がズルッ

と私に中から出ていき、しかし割れ目を辿

った指先はその場所をあっけなく探り当て

た。


「あっ、まだダメ、またイッちゃう…!」


 先程まででたいぶ弄られてまだぷっくり

と膨らむその敏感な突起に露を塗りたくら

れるだけで腰が揺れてしまう。


「えぇ、ですから頑張って下さいね、恵」


 莉華の指先はもうあたしの体を火照らせ

ようとその一点を弄り始めていて、あたし

はもう余計なことを考える余裕はなく莉華

に教えられた通り莉華の体の奥に埋めた指

の束を繰り返し何度も奥を擦るようにしな

がら出し入れする。

 抗いがたい快楽が熱い体を高みへと持ち

上げていき、濡れた視線を絡ませた後どち

らともなく唇を重ねて吐息の合間も惜しむ

ように貪るようなキスを繰り返した。

 互いの首元ではペアネックレスのクロー

バーが二人の体温で熱を帯びながら片割れ

と離れがたいように揺れる。

 カーテンの向こうでは粉雪が音もなく舞

い、聖夜が世界を静かに包み込んでいた。





             END





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