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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode



「はぁ、はぁ…、ぁっ、それ、は…っ」


 腰を揺らしつつも耐えた俺の形をなぞる

ようにクロードの舌は滑る。

 やがて根元の袋を掌で揉みしだきながら

舌は先端の括れから山の頂点に到達し、蜜

を流し続ける小さな穴に先端を尖らせてグ

リグリと押し込んだ。


「ゃっ、イ、クぅ…ッ!」


 ダイレクトな刺激には耐えようもなくビ

リビリと腰から先端へ熱が駆け上がって、

俺はクロードの口内で熱を吐き出した。

 俺が放った白濁は一滴残さずクロードの

喉の奥へと消え、クロードは丁寧に俺の表

面についたものさえ綺麗に舐めとってくれ

る。

 残滓まで余さず吸い上げられてぐったり

する俺をよそにクロードは俺の足からズボ

ンも下着も抜き取ってしまった。


「今夜はいつもにも増して甘いなぁ」


 絶頂を迎えたばかりでベッドの上にぐっ

たりと体を横たえている俺を見下ろしなが

らクロードは唇に残った僅かな水分さえ逃

さぬように自らの舌で舐めとる。

 その表情は熱を帯びながらもまだ心の内

に獣のような欲情を秘めていて、俺の背筋

にゾクリと熱をもった痺れをもたらした。


「なんか今夜のクロードって、ちょっとだ

 け昔に戻ったみたいだ」

「昔?いつや?」


 自分の口内に入れた指を唾液で湿らせたクロ

ードはその指を俺の股の間にもってきて、俺は

その指を股を大きく開いて迎える。

 窄まりつつも期待してピクピクと震える蕾に

クロードの指が触れた瞬間、ついに指が入って

くる感覚に俺の腰はビクンと震える。


「4年前、かな?

 出会ったばかりの頃、学校の保健室とか

 屋上とか階段下の暗がりとか…色んな場

 所ですごくエッチな悪戯されてた頃。

 クロードの意地悪で俺は全然余裕がなく

 て、なのに視線だけで抵抗してる心まで

 丸裸にされるような気がしてた」


 クロードの指が動きやすいように股や腰

の角度を調整していると、間もなくクロー

ドの指は蕾の入り口を解して奥へと進んで

くる。

 俺は大きく息を吐きながらクロードの指

の感触を体内で感じ、もっと奥へと誘いた

くて下半身に力を込める。


「そうやったん?

 俺もあの時は必死やった。

 あのチビはともかく、秀は駆に指一本触

 らせんって威嚇してきよったからな。

 共有できる思い出がないんやったら、作

 ればいいって思ってた。

 学校の何処にいても俺を思い出すように

 なればええって。

 けど駆がそないに思ってたんわ初耳や。

 駆は他の人間とは違う。

 どれだけ気持ちよう追いつめても、何度

 セックスしても、俺の思い通りに頷いて

 くれん初めての人間やと思ってた。

 せやから、余計に余裕なかったわ」


 蕾をじわじわと解しながら俺の中に入り

込んだ長い指先は、すっかり覚えてしまっ

た俺の弱点を撫でさり始める。

 クロードの唾液たっぷりの指先にこねく

り回されて俺の腰はあっけなくビクビクと

震えてクロードの指を締め付け、先程放っ

たばかりのそれは再び芯を持ち始めた。


「気持ち良過ぎて、んんっ、ちょっとでも

 気を抜いたら美味しく食べられちゃうっ

 て必死だった。

 でもクロードに見られてると服着てるの

 にゾクゾクしてきたりして、困ってた。

 さっきの、ぁっ、んんッ…ちょっとあの

 時の目を思い出した」


 蕾を解すのにクロードの指が出入りする

度にぐちゅぐちゅと音を立てる。

 もっとクロードの指を体内に留めておき

たいような、けれどクロードの雄が一刻も

早く欲しいような、贅沢な切なさが俺の胸

を締め付ける。

 クロードの愛撫に反応した俺の股の間では

既に天井を向くそれが先端から滴を零れさせ

ており、重力に引かれて一筋裏筋を伝ってい

く。

 蕾は甘い痺れを纏いながらクロードの指

に縋りつき、その奥はクロードの唾液に濡

れそぼってもっと質量のある熱を欲してい

る。


「駆が欲しいんはホンマやけど、今はもう

 気ぃ抜いたら横から誰かに駆を掻っ攫わ

 れるって心配せんでええからな」


 クロードは右手で俺の体内を解しながら

もう片方の手で俺の左手を引き寄せて、俺

の左指の付け根…指輪にキスを落とす。

 その仕草は紳士のように淀みがなく、俺

の心臓はまるで直接キスされたみたいに高

鳴る。


「でももし駆があの時みたいなエッチがお

 好みやったら、ご要望にお応えするで?」

「そんな、ぁっ、拡がっちゃ…っ」


 クロードの悪戯心の混じる熱っぽい視線

と低く囁かれる声にゾクゾクと背中を震わ

せた俺は、体内に埋まった指を広げられて

膝を震わせながら足の指をシーツに押しつ

けて耐える。

 もしクロードに出会った頃の責め苦を今

同じように与えられたら、俺はきっと耐え

られない。

 今の俺はあの頃より色んな快楽をクロー

ドに教えられていて、その上でクロードが

どれだけ辛抱強く俺を焦らせるか知ってい

る。

 それ以上にクロードに会えない辛さも、

クロードと共に過ごせる時間がもたらす幸

福感も、よく身に染みている。

 もし今、あの時と同じように“一緒にイ

ングランドで暮らすって約束してくれたら

イカせたる”と言われたら、頷いてしまう

かもしれない。

 渡英する度に俺の中にある様々な不安が

小さくなって、ずっとクロードと一緒にい

たいという気持ちが膨らんでいっているか

ら。

 言葉の壁、文化の違い、二か国の遠い距

離でさえ、煩わしくて思い切って飛び越え

てしまいたいと心のどこかで小さな俺が叫

んでいるような気さえする。

 その声を後押しする誘いを快楽と共に目

の前にチラつかせられたら、俺の心は喜ん

で受け入れてしまうかもしれない。

 …さすがにそれはクロードには伝えられ

ないけれど。





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