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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「そんなに暴れたら…おっと」

「あっ」


 俺が構わずに暴れたせいか、それともわ

ざと強く引っ張られたのか。

 指輪を繋いでいたチェーンはあっさりと

千切れて、その勢いのまま指輪が絨毯の上

に転がった。

 まるで悪夢でも見ているようで呆然とす

る俺の耳に楽しげな声が降ってきた。


「ほらね?あっけない。

 あんないつ失くすかも分からない方法で

 身に着けてるようじゃ、指輪をつけてい

 るのと同等だとは言えない。

 本当にクロードのモノだって言いたいな

 ら左手の薬指に嵌めないとね」


 テーブルの下に転がった指輪を今すぐに

拾い上げたいのに、俺の親指を拘束する指

錠はどんなに手首を動かしても開放してく

れない。

 小さいくて玩具みたいな見た目のくせ

に恐ろしいほど残酷だった。

 そんな俺のことなどお構いなしで強引

に仰向けにされ、驚いている隙をついて

膝より下まで下着ごとズボンを引き下ろ

されてしまう。

 もうそうなってしまうと衣服が足首か

ら抜かれるのは時間の問題で、最後の抵

抗とばかりにがっちりと閉じた腿の間に

しっかりと挟み込んだ。

 もうこれ以上の横暴なんて許せない。

 悔しすぎて泣きそうになりながら許せ

なくて睨みつける。

 しかしそれでもお兄さんは表情を崩さ

なかった。


「可愛いね。

 それで抵抗しているつもりなんだ?

 それとも、そうしたら男の気が引けると

 分かってやってるのかな」


 つもりも何も、今の俺にはこれが精いっ

ぱいなのに。


「嘘つきっ!レイプ魔!!」

「うーん…。

 でも君がそれで気持ちよくなったら合意

 だよね?」


 そんな訳ないのに、気持ち良くなんてな

らないとは言えなかった。

 心でどれほどおぞましいと思っても、体

がどれだけ淫魔の強烈な体液に引きずられ

るか分からない。

 首を舐められて気分的には全身に鳥肌が

立つほど嫌でも、肌にじんわりと染みる唾

液は仄かな熱をもっている。

 それが純血の淫魔がもつ体液の効力だ。

 心をズタズタに引き裂いたとしても、体

だけならば絶頂を極めてしまうかもしれな

い。

 けれどそれは、いわゆる擦れば出るのと

同じ理論であり、体の自然な摂理だ。

 問題なのは淫魔の体液が精神状態を無視

できるほど強力であるという一点に尽きる。


「こんな方法を使って合意なんて、俺も誰

 も思わない。

 目的は何ですか。

 俺を…フェロメニアを食えれば満足なん

 ですか。

 それともクロードを出し抜きたいんです

 か」


 目に力を込めて睨みつけるほど強い視線

で言い切る。

 話題を変えて真意を探るが、本心を言う

可能性はそれほど高くないと思う。

 少しくらい時間稼ぎにならないかなとい

う思惑があっただけだ。


「うーん、そうだなぁ」

「っ」


 膝から太ももの付け根にかけて掌が往復

する。

 触れられた場所がぞわぞわと不快だった

が、今脚を動かすと前か後かが無防備に晒

されることになるから出来ない。

 できれば膝を顎に叩き込んで逃亡してや

りたかったけれど、背中側で親指を拘束さ

れている現状では廊下に続くドアノブは回

せない。

 まして下半身がすっかり剥かれてしまっ

ている状態で廊下に飛び出すのも憚られる

し、恥を捨てて出られたところで初めて来

たこの豪邸の廊下で迷子になるのは必至と

思われた。



「鍵をかけてまで隠したいものって見たく

 なるんだよね」


 何を言っているのかさっぱり意味が分か

らない。

 しかし言った当人はそれで満足したらし

く、捲り上がったTシャツの隙間から覗く

胸の突起に舌を這わせてきた。


「あっ、やぁっ…!」


 吐息が触れるだけで嫌悪感から胸を反ら

したくなるのに、突起を口に含まれると肌

が体液に反応して熱く尖り始める。

 弾力をもつ突起を転がされてコリコリと

歯の間で揉まれると、どうしても閉じてい

た膝から力が抜けてしまう。

 そのまま突起を吸い上げられると、背中

を色濃い嫌悪感で撫でられながら股の間が

ビクビクと反応してきてしまった。

 文字通り、心と体が真っ二つに引き裂か

れていく。

 それは泣き喚きたくなるほどの激痛を精

神的にもたらし、体が火照れば火照るだけ

心をズタズタにしていく。


「乳首はもう開発済みなんだね。

 相手はクロード?」

「やっ、あっ…!」


 答えたくないと首を振る俺のもう片方の

突起も間もなくその口内に消えた。

 先ほどまで転がされていた方の突起はす

っかり唾液に濡れて尖りきっていて、そん

な光景すら俺の心を追いつめる。

 いくら淫魔の体液が強力でも、クロード

以外の誰かにレイプされて感じてしまう自

分の体なんて見たくない。

 けれど快楽なんて感じたくないと思う心

にも体は従ってくれない。


「んぅっ…!」


 痛い位にもう片方を吸い上げられてジ

ンジンとした熱が芯を持った突起を包む。

 股の間に挟んでいるものが熱を持ち始め、

股をすり合わせるだけで刺激してしまいそ

うだ。

 そうしてそれに怯えて力の入れられなく

なった股の間に掌が入り込んで、中からず

っと隠していたものを掴んで引っ張り出し

てしまう。


「ほら、感じてるじゃない。

 これで合意だよ」

「そんなこと、ない…」


 掴まれたものは一瞬怯えたように竦んだ

けれど、胸の突起に残る熱に反応するよう

に芯を持ち始めてしまう。

 数時間前までクロードに吸われて幸せに

打ち震えていた場所。

 感じたくない。

 こんな男の手で感じさせられて気持ちい

いなんて微塵も思えない。

 泣き出したいくらいそれが本心なのに、

体から熱が抜けてくれない。

 誰かにレイプされて感じてしまっている

ところを一番見られたくないのはクロード

なのに、体に裏切られて悲鳴をあげる心が

クロードに助けを求め始めた。

 もう見られてもいいから一刻も早く帰っ

てきてほしい。

 こんな男にイかされて一滴でも精を啜ら

れる前に。

 早く、早く…。


「指輪まで受け取っちゃってるってことは、

 当然こっちはもう開発済みだよね?」


 俺の熱を緩く扱きながら力の入れられな

い膝を割り開いて膝を胸の方へと押し上げ

る。





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あきゅろす。
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