悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * まだ冷たい朝の風が頬を撫でるのが気持 ちいい。 日課にしているランニングで程よく温ま ってきた体が朝の空気でいっぱいになった 気がして心地いい。 まだ目覚めたばかりの街は車の通りもな く静かだ。 自然と足も軽くなって見慣れた景色のわ ずかな変化に目を向ける。 いつものコースを回って最後に公園に立 ち寄る。 ジャージのポケットに手を突っ込んで小 銭を自販機に入れた。 灯る赤いランプ。 スポーツドリンクのボタンを迷わず押し て、額から流れる汗を肩にかけてあるタオ ルで拭った。 プルタブを開けて冷たい水分を喉に流し 込む。 火照った体には気持ちいい。 朝のランニングは好きだ。 静かだし、気持ちいいし。 一人でいられる。 誰にも気を遣わなくていいし、男でも女 でもいなくていい。 [*前][次#] |