悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * 不幸中の幸いだったのは、その教師の部 屋が中学生の足ならば帰りつける距離にあ ったことだ。 日はすっかり落ちてしまったが、辿り着 いた。 家の明りを見て、ようやく緊張が緩ん だ。 もう何も考えたくなかった。 体を綺麗に洗って、ベッドにくるまっ て、今日起きたことなど忘れてしまいた かった。 そっと玄関のドアを開いたらちょうど 階段を上ろうとしていた駆が見えた。 何も知らずに、いつものように近づい てくる駆。 その無邪気な顔に胸を突かれた。 自分は理不尽に汚されてしまったんだ とぼんやり思った。 だから、伸びてきた駆の手をよけた。 「近づかないで! 駆まで汚れますから…」 あの女の匂いが染みついているかもしれ ない。 あの女が触れ、舐めた場所なんか自分で だって素手では触りたくない。 傷ついたのだろう。 ショックを受けて動けずにいる駆を残し て部屋へ駆け上がった。 [*前][次#] |