悪魔も喘ぐ夜 Character Episode * “あなたが悪いのよ” 教師は何度も繰り返した。 何度も繰り返しながら愛撫とも呼べない 行為を続け、生臭い息を吐きかけてきた。 自分の何が悪いのかも分からない。 全身に鳥肌がたっても教師はやめようと しない。 やがて我慢しきれないように教師はスカ ートのファスナーに手が伸ばし、その隙を ついて教師を突き飛ばして跳ね起きると、 後ろで喚くのにも振り返らずに持ってきて いたカバンを鷲掴んで部屋を飛び出した。 車が走ってきたような気がするうろ覚え の道を走り続けた。 振り返ったら教師の皮を着た女がいそう な気がして。 闇雲に走ったけれど、大きな通りに出て しまえばあとは早かった。 道路標識に書かれている見覚えのある地 名の方向へ向かえばいい。 ようやく安堵して、振り返ってみたがそ こには誰もいなかった。 心が麻痺したように何も感じなかった。 いや考えないようにした。 ただ両足を交互に出していけばいずれは 家に辿り着くとそれだけを考えていた。 [*前][次#] |