[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「いやいや、俺がちゃーんと分り易く教え

 たるよ。

 駆がわかるまで、な?」

「いらない、いらない!」


 クロードの目に不穏な色を見つけてブン

ブンと首を横に振りながらきっぱり拒否し

た。

 きっと今の言葉の99%くらいは下心

だから。


「そんな遠慮せんでええて」

「遠慮なんかしてないし!…あれ?」


 隙あらばで触ってこようとするクロード

の手から再び逃れたところで帰り道の先に

見知った影を見かけた。


「西門…?」


 授業中は睡眠時間と決めているとしか思

えない西門だけど、HRが終わったと思っ

たらもう教室を出ていて帰り道で見かける

のは稀だ。

 そんな西門がゲームセンターの前で立ち

止まって何かをじっと見つめている。

 日頃からあまり会話をしないだけに西門

が何を見ているのかちょっと気になった。


「西門?何見てんの?」


 話しかけながら傍によると西門はちょっ

と面倒くさそうな顔をしたものの、顎で示

して教えてくれた。


「新しいバージョンになってる」


 西門の視線の先にあったのは、どうやら

曲のリズムに合わせてボタンを押していく

リズムゲームらしい。

 ちょうど2〜3人の小学生らしき子供た

ちが群がってワイワイ言いながら遊んでい

る。


「ふーん。

 西門ってあぁいうゲームやるんだ?」

「ただの暇潰しだ」


 立ち止まって見るくらいには興味があっ

たもののはずなのに、西門はそれだけ言っ

てあっさり立ち去ろうとする。


「あれ、やってかないのか?」

「待ってる時間が無駄」


 背中越しに顔だけ振り返って一言だけ残

して西門は遠ざかっていく。


「なんなん、あれ?」


 すぐ後ろにいたのかクロードもゲームセ

ンターの店内に視線を向けていた。


「うん?あぁ…リズムゲームだよ。

 曲に合わせて表示されたボタンを正確に

 押していくんだ」

「へー。あ、ちょうど空いたみたいやな。

 やっていくか?」

「うーん…。じゃあ一回だけ。

 誠一郎はどうする?」


 気づくと群がっていた小学生くらいの子

供たちは遊び終えたのかゲーム台から離れ

ていくところで、誠一郎のほうを振り返っ

たら首を横に振られた。


「いや、俺はいい。

 リズムゲームは得意じゃないし」


 買い物も頼まれているからという誠一郎

とは「また明日」と言ってそこで別れた。





[*前][次#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!