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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「これでよし、と」


 最後に皆の名前を書き終えた高瀬がペン

のキャップに蓋をして、ようやっと肩の荷

が下りた。


「やっと終わったー!」


 何か所も施設に取材に行ったこと、それ

が徒歩での移動だったことで余計にそう思

うのかもしれない。

 だが俺としては一つの大きな仕事を成し

終えた気分でグーッと両腕をグーのまま頭

上に上げて伸びをする。

 気分はスッキリ爽快だ。

 夏休みの課題は残る所読書感想文だけだ

と思うと気持ちがすごく楽になる。

 まぁ感想文が終わっても過去問地獄から

はまだまだ逃れられないだろうけども。

 腕を頭上に上げたまま背中を倒し、ゴロ

ンと畳の上で横になる。

 伸びて楽になったところを一気に力を抜

いて深く息を吐き出した。


「じゃあせっかくだから、これは加我に預

 けておいていいかな?」

「わかった。夏休み明けに提出する」

「うん、よろしく」


 高瀬と加我のやりとりをどこか遠くに聞

いていたら、顔のすぐそばで誰かが畳に手

をつく気配が…。

 確認なんてするまでもない。

 それは隣に座っていたクロードだろう。


「さっき聞き損ねたけど、いつ俺の家に遊

 びに来るん?

 今日?明日?」

「……」


 やっと自由研究が終わった解放感と、だ

からもう皆でワイワイ会う口実がなくなっ

ちゃったなというちょっとした寂しさに心

地よく包まれていたのに、見下ろしてくる

クロードの目と目があって一瞬口をつぐん

でしまった。

 二人きりで会えばもうクロードはクラス

メイトの仮面は外してしまう。

 それが地なのだとわかってはいるけど、

むしろ今の表情が作り物なんだとわかって

いるけど、もうちょっとこの心地よい余韻

を味わせてほしかった。


「今日はもう遅いし、明日はもう先約入っ

 てるから…」


 ゴニョゴニョと口の中で言い訳するが嘘

ではない。

 もうすでに明日も朝から兄貴の呼び出し

をくらっている。





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あきゅろす。
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