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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「これからは気をつける、から。

 兄貴が俺の事をどう思ってるのか聞きた

 い」


 パジャマの中にスルリと滑り込んできた

掌に撫で上げられて腹部に力が入る。

 期待と不安が体の奥で混ざり合って吐息

が外に逃げていく。


「これ見よがしにイチャつきながらケーキ

 を焼いていたくせに、本命チョコを食べ

 ただけでは足りないんですか?」


 “我儘ですね”と兄貴の意地悪い目が笑

う。

 兄貴の気持ち一つで、今俺の肌を撫でて

いる指先は快楽を与えもするし苦痛を与え

もするだろう。

 気持ちいいほうが嬉しいけど…、でもた

とえ痛みだったとしてもそれが兄貴の本心

なら甘んじて受けるつもりだ。

 言葉だけが返事じゃないと思うから。


「足りてるわけ、ないだろ。

 温泉でだって、結局ちゃんと言葉で言っ

 たのは俺だけだったし…」


 あの夜は、言葉を紡ぐ暇さえ惜しんで舌

を絡ませ合うキスを繰り返ししていたから

だけど。

 でもそれだけじゃ足りない。

 快楽で有耶無耶にしないで、ちゃんと両

想いなんだっていう実感が欲しい。


「だったらまず駆から言ったらどうです

 か?」


 でも兄貴は涼しい顔で俺に矛先を向けて

くる。


「俺はもう言ったから、兄貴の口から聞き

 たいんだってば」

「たとえ百回言おうと千回言おうと減るも

 のじゃないでしょう」


 分ってるくせにと睨んでみるが、兄貴は

一向に気にするそぶりもなくパジャマのボ

タンを外していく。


 減るもんじゃないって言うなら、なんで

兄貴は言ってくれないんだよっ。


 どうしてそこまで好きと言う言葉を言い

渋るのか分からない。

 本当は俺に対して特別な気持ちなんかな

いんだろうかと気持ちが沈みかける。

 でも諦めきれない。

 どうにか兄貴の口から兄貴の言葉で聞き

たい。

 だから…。


「…じゃあ、俺が言ったら言う?」

「えぇ、いいですよ?」

「ぁっ…」


 ボタンを全て外し終えた兄貴の手がパジ

ャマの中に入り込んで胸を撫でる。

 たったそれだけなのに、そこに神経が集

中してしまう。

 先ほどから放り出されたままの剥き出し

の性器が早く触ってくれと切なく揺れた。





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あきゅろす。
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