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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「違うっ。

 チョコは…昨日の夜に一人で作ったし、

 麗はふざけてただけで特別な意味なんて

 ないし」


 でも誤解されたままは嫌だから訂正した

ら、顎を掴んで引かれ兄貴の不機嫌な視線

にぶつかる。


「それだけ隙があるということです。

 本命がどうのなんて言う暇があるなら、

 まずそこからどうにかしたらどうです

 か」


 訂正。

 なんか凄く怒ってる。

 気休め程度に動いていた掌も動きが止ま

って、中途半端に放り出された下半身の熱

をせめて吐息に混ぜる。


「麗にはちゃんと言うから…」

「麗だけじゃないでしょう。

 僕を欲しがるなら、然るべき線引きをキ

 チンとするんですね」


 俺が誘った訳じゃないのに、と言い訳じ

みた思考が一瞬だけ頭を過ぎった。

 けれど立場が逆だったらと考えて、それ

が想像すらできないことに気づいたらもう

頷くことしか出来なかった。


「ごめん…。

 これからはちゃんとするから」

「当然です。

 僕の心が全部欲しいと欲張るのなら、駆

 の心は全部僕のものであって然るべきで

 す」


 兄貴は“何を今更”という目つきでそう

告げて、パジャマの上から手探りで探し当

てた突起を摘み上げる。

 思わず小さな声が出ると同時に尻の奥の

窄まりがキュッと締まって燻る熱を煽る。


 これからは気をつけるから、俺のこと好

きって言って欲しいって言ったら兄貴怒る

かな…。


 それとも図々しいと呆れるだろうか。

 でも温泉に行ったあの夜も、その後も、

兄貴の口から気持ちを伝える言葉が出てこ

なくて不安になる。

 体を重ねることは幾度となくあったけれ

ど、気持ちの上でちゃんと通じ合っていた

かというと疑問が浮かぶ。

 フェロメニアなんて厄介な体質だからこ

そ、体を重ねるだけでは足りない。

 ちゃんと兄貴の言葉で兄貴の気持ちを聞

いてみたい。





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あきゅろす。
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