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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「れ、麗…?

 あの、それは、どういう…?」


 頭の頂点を驚きが突き抜けていった後、

理解力が戻ってくると同じようなスピード

で頭が熱で茹で上がる。


「うん?そのままの意味だよ?

 兄さんは夢の中だととっても可愛い」


 トドメだと思った。

 もう誤解のしようもないほどに麗はハッ

キリと俺の言いたかったことを理解してい

るし、麗の答えは俺に他の解釈をさせてく

れないほど明確だ。


「〜〜〜ッ!!!」


 今度こそ麗の顔を見ていられなくて寝返

りをうって丸くなったら、部屋の明かりを

落としてから麗が同じベッドに入ってき

た。

 もう殆ど身長が変わらないまで成長した

麗が背中の方から抱きしめてきてビクッと

体が震えた。

 背中に麗の体がぴったりと寄り添ってく

ると胸の奥で暴れる心臓までも知られてし

まいそうで慌てて逃れようとしたけど一人

用のベッドにはすでに逃げ場などない。


「こ、ここで寝るのか!?」

「だってここしか布団ないでしょ?」

「じゃ、じゃあ俺がソファで寝るから

 さ…ッ」

「ダーメ。

 そんなことしたら風邪ひいちゃうでし

 ょ?」


 麗が腕にギュッと力を込めて離すまいと

するけど、もうパジャマ越しに触れる体温

も、首筋にかかる吐息も、耳元で響く変声

期の声も、全てが今の俺にとっては毒だっ

た。

 この状況のまま眠れたとしたって、夢の

中に麗が出てきたら…逃げ場がない。


「兄さん…なんだかすごくいい匂いする」

「…っ!?」


 いやいやいやっ!

 変なつもりになってないから!

 最近…してないからって、抱き締められ

たくらいで欲情しないから!


 まだパジャマの下で熱をもたずに大人し

くしている股間を確かめて自分を納得させ

るけども、いい匂いがすると言ってクンク

ン鼻をならす麗の仕草が俺を不安にさせ

た。


 まさか香ってるんだろうか…?

 いや、でも勃ってないし…。


 自分ではわからないから何とも言えない

けれど、淫魔にしかわからないフェロメニ

ア特有の体臭だというのならいつのまにそ

こまで香るようになってしまったのだろ

う。


「あっ…」


 匂いだけでは収まらなくなったのか、麗

の舌が首筋を舐める。

 ゾクリと背筋に電気が走って、思わず声

が出てしまった。

 狭い布団の中で密着して舐められても戸

惑うばかりで抵抗しない俺の態度に麗はど

んどん大胆になっていく。

 場所をずらしながら何度か項にキスをし

たかと思うと、断りもなしに肌を吸い上げ

てくる。


「あっ、麗っ…!」


 たまらないというように首筋にかかる吐

息は余裕を無くしていて、しかしそれはハ

ッキリ痕が残ると分かるキスだから焦る。

 項なんて怪我のしようのない場所に赤い

痕がついていたら、たとえ絆創膏で隠して

も誰だって察するだろう。





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あきゅろす。
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