[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「俺が…だったらカイルの代わりに俺が受

 けるから。

 本当にカイルは何も悪くないんだ。

 許してやってくれないか」


 俺が招いたことだ。

 カイルがあんなに嫌がっていたのに悪ふ

ざけしたのは俺。

 だとしたら罰せられるべきなのはカイル

じゃない。

 しかしクロードはどんな言葉よりも重い

言葉を俺の耳に落とした。


「駆、もう一度言うで?

 例外は、認められへんねん。

 誰がけしかけたとか、どっちのほうが悪

 いとかいう次元の話やないねん。

 カイルが罰を受けるんは、不義理を働い

 たからやない。

 主人に誤解させたらあかん、その一点な

 んや。

 だから駆は身代わりになれへんねん」


 それはまごうことなくカイル自身の罪な

のだとクロードは繰り返した。


「駆があえて罰を受けるって言うんやった

 ら、それを黙って見てることやろうな」


 例外はないと繰り返すクロードの静かな

目にそれ以上の言葉は無意味だと悟らされ

た。

 立っていられなくてソファの上に戻る

と、頭を抱える俺の肩を隣に座ったクロー

ドが抱き寄せる。


「知ってたら…あんなこと、しなかったの

 にっ…」

「言わへんでも分ってくれとると思った。

 そないにこの指輪の意味は軽いくないっ

 て」


 締まる喉の奥から言葉を絞り出しても、

肩を撫でる手は優しくても、それ以上の言

葉はくれない。

 時間を戻せるなら、ほんの少し前に戻っ

てふざけていた俺の後頭部を殴りつけてで

も止めたい。

 でもどんなに願っても時間は巻き戻せな

い。





[*前][次#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!