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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「クロード、処断なんて考え直してくれ!

 ホントに、本当にカイルは何も悪くない

 んだ!

 ただ俺がふざけてて、それでっ…!」


 クロードの纏うバスローブに掴みかかる

ような勢いで訴えるがクロードは静かに首

を横に振った。


「どんな状況でも、従者が主人のものに手

 ぇ出したらあかんねん。

 例外はない。

 特例を認めてもうたら、周りにも示しが

 つかへん」

「カイルは何もしてないっ!

 俺が、俺が悪ふざけしただけでっ…!」


 イギリス本土からこれだけ離れた地で、

しかも3人以外誰もいない状況で、カイル

本人は何もしていないと俺がこんなに訴え

ているのに何故カイルがそんな責を負わな

ければならないのか。

 あまりに理不尽が過ぎて納得できない。

 唇を噛みしめる俺の首元のリングに静か

な目をしたクロードの指先が触れた。


「このリングには俺の名前が刻まれてる。

 これを俺から贈られて身に着けているっ

 ちゅうことは、誰がなんと言おうと俺の

 許可なしに手を出してええ相手やないっ

 ちゅうことやねん。

 これを片時も外すなって言うたんは、駆

 が答えを出すまでは誰にも手を出された

 くなかったからや」


 リングの縁をなぞってクロードの指先が

離れると、リングの冷たい感触が俺の胸に

重いものを落とした。


「それを知っている従者なら、いついかな

 る状況であっても主人に誤解される様な

 言動したらあかん。

 もしそうなってしまったんやったら断罪

 されても文句は言えへん。

 クラウディウスの一員として、これを見

 逃したら俺が家の名前に泥を塗ることに

 なる。

 それはできへんねん」


 そんなこと知らなかった。

 知ってたら、あんな悪ふざけ絶対にしな

かった。

 カイルが俺を避けていたのは、こうなる

のを懸念していたからなのか。

 だとしたら俺は…ッ!





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