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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*



「正月くらい帰らせてやればいいのに…」


 カイルは結局夏休みもクリスマスもこっ

ちで過ごしたわけだから、お正月の三が日

くらいは実家に帰っても罰は当たらないよ

うな気がする。

 しかしそう思ったのは俺だけだったよう

だ。


「日本と違ってあっちはお正月にすること

 って言ったらカウントダウンくらいやし

 なぁ。

 新年の挨拶くらいはテレビ電話でするや

 ろうけど」


 それでも時差があるから朝の9時にかけ

ればええし…とかクロードは続けている。

 カイルを“あれ”呼ばわりするあたりカ

イルの扱いが見て取れるようだけど、さす

がに年中無休は酷いんじゃないかと…同情

したくなる。


 …カイル本人には煙たがれるだろうけど

も。



 この雪の中、買い出しに行かされたカイ

ルはそのままかまくら人員として近所の公

園まで強制連行され…。

 バケツ一杯にギュウギュウに押し込まれ

た雪の塊を八つ当たりのような手つきでか

まくらになるはずの雪山に投げつけてい

た。 


 うーん…ストレス溜まってそうだなぁ。


 クロードはもう半年以上経つのにまだあ

の事を許してないんだろうか。

 半ば巻き込んでしまったような立場の俺

としては黙って見ているのも良心が咎め

る。


「あ、あのさ、カイル…」

「駆ー。

 スノーマンのはこれくらいのサイズでえ

 えの?」


 さっきから黙々とバケツに雪を詰めてい

るカイルに声をかけようとしたら、遮るよ

うなタイミングで背後にいたクロードから

声がかかる。

 振り返ると大きな雪玉が3つ。


「え?あ、うん…」


 放っておくわけにもいかなくて、かまく

ら用に雪を集めていた作業を中断してクロ

ードの元へ。





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