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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 本当はそれだけじゃないはず…そう思う

のは、俺が妙に冴えてるからなのか、それ

とも俺自身がそうあってほしいからなの

か。

 掛布団を捲って起き上がるのと兄貴が本

から顔を上げたのはほぼ同時だった。


「くどいですよ。

 何が言いたいんですか」

「だって…1人で行きたくないだけなら、

 麗や友達でも良かったはずだし…」

「友達は受験や入学の準備があるでしょう

 し、麗に至っては喜んでついてくるとで

 も思ってるんですか?」


 思わない…けど…。


 さらに突つく俺にイライラしているのか

兄貴は早口になっていく。

 もうこれ以上突っ込んで聞いたらまずい

とは思うけど、まるで“誰でもよかった”

と消去法で選んだだけみたいに言われるの

は納得できない。


 いや…納得したくないんだ、俺が。


 ほんの少しでいい。

 兄貴の気持ちが知りたい。

 そうしたら俺だって意地を張らずに素直

になれる気がする。

 俺だけが気持ちを伝えたところで、兄貴

は自分の気持ちを教えてくれたりする性格

じゃないのは嫌ってくらい分ってるから。


「じゃあ…兄貴は暇だったら友達と来ても

 よかったんだ?」


 言いあぐねて結局出てきたのはそんな言

葉だった。

 もし“そうだ”と言われたら…そう思う

と怖かったけど、そこを聞かなければ結局

同じことを聞き返すしかなくなるような気

がした。


「まるで駆だから一緒に来たんだと言って

 欲しそうですね」


 あぁっ、そうだよっ!!


 一瞬ドキッとしてしまったのが余計に悔

しくて、心の中でやけくそになって叫びな

がら掛布団に皺がつくくらい腕に力を込め

る。





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あきゅろす。
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