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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「もう食べられない〜っ」


 ばふっ


 満ち足りた笑顔でふっかふかの布団に背

中から倒れ込んだ。

 前沢牛もズワイガニもアワビもみんな美

味しくて、残さず食べきってしまった。

 布団の上でゴロゴロしていると後から入

ってきた兄貴がそんな俺を見て一言。


「…食べてすぐ寝るとブタになりますよ」

「うっさいなっ。まだ寝ないしっ」


 顔をガバッと上げて言い返すが兄貴は意

に介した様子もなく本を片手に隣の布団に

潜り込む。


 …あ、あれ?


 確かに釘は刺したけども。

 大浴場とか食事処とか人目につく場所は

困るけども。


 …本当に何も無し、なのか?

 石風呂であんな悪戯してきたくせに…。


 兄貴がその気になって手を出してきても

素直に“はい、どうぞ”なんてことにはな

らないけども。

 それでもここは温泉旅館で、今は夜で、

しかも二人きりなんていうシチュエーショ

ンなんだから…。


 べ、別に俺がしてほしいとか、そういう

んじゃなくてっ!

 物足りないっていうか、本当にただそれ

だけだしっ!!


「〜〜〜っ!!」

「…枕に顔を埋めて変な声出すの、やめて

 くれますか。

 気が散りますから」



 当の本人は静かに本のページを捲りなが

ら涼しい顔をしている。


 バカらしい…。もう寝よっと。


 兄貴の一言に一人で悶々としているなん

てバカみたいだと肩から力を抜き、寝返り

をうって兄貴に背を向けると肩まで掛布団

を引き上げてまぶたを閉じた。


「もう寝るっ。おやすみ!」





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