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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


「いつまでふて寝してるんですか?

 もう夕食の時間になりますよ」


 浴場から戻ってきてすぐに布団の中で芋

虫になると、ゆっくりと余裕をもって兄貴

が戻ってきた。

 頑なに丸まってみても夕食の一言に心が

揺らぐ。


 うぅっ。

 俺のステーキとカニと海鮮焼きぃ。


 フロントで係員の人が確認しているのを

聞いてから楽しみで楽しみでたまらなかっ

たのに…布団から出たくない。


「いいんですか?

 個室ダイニングまで行かないと夕食食べ

 損ねますよ。

 今晩夕食抜きでいいというならそのまま

 でも構いませんけど」


 ぐ〜っ


 実にタイミングよく、言い訳のしようも

ない音が響いた。

 見事に面目丸潰れなわけで…仕方なくご

そごそと布団の中から顔だけ出した。


「……何も、しない?」

「何もってなんですか。

 言っておきますけど、夕食を食べ損ねた

 らこの雪の中夜道を歩いてコンビニまで

 行くしかなくなりますからね」

「…絶対何もするなよ」


 背に腹は代えられない。

 豪華な夕食を泣く泣く食べ損ねるなんて

悲しすぎる。

 キッと睨んで念押しする俺を呆れ顔で兄

貴は見ていたけど、先ほどのことを考えれ

ばそれでも足りないんじゃないだろうか。

 でもとりあえず怒りは横に置いておい

て、そそくさと布団を脱ぐと夕食を食べに

向かった。







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あきゅろす。
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