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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*


 だったら変なとこ揉むなっ!!


 股間から手をどけろと躍起になっている

と、首筋に噛みつかれた。


「いッ…」


 痛みに顔をしかめている間に兄貴の掌が

数回俺のを扱くように擦って離れる。

 ちっとも気持ち良くなんかないのに、心

臓が煩いほどに高鳴る。


「みっ…見えるとこに噛みつくなって言っ

 てるのにっ…」


 噛みつかれた場所を掌で押さえながら体

を離して睨みつける。


「そんなことより、問題はその体の方でし

 ょう。

 欲情してもいないのに香ってしまうよう

 では、淫魔に狙われる確率が上がってし

 まう。

 でも今までは普通だったんですから何か

 きっかけがあるはずなんですけど…。

 心当たりは?」

「そんなの知るわけないっ」


 俺をコケさせたことも、噛みついたこと

も、少しも悪いと思わないらしい。

 謝らない兄貴をキッと睨みつけてさっさ

と上がろうとしたけど、今度こそ本気でそ

の腕の中に囚われてしまった。


「落ち着くまで待ちなさい。

 そんなに香らせて、客の中に淫魔が混じ

 っていたらどうするつもりなんですか」

「そんなのどうにかなるっ。

 離せよっ」


 いるかどうかもわからない見知らぬ淫魔

より、俺を抱きしめて離さない兄貴に悪戯

される確率の方が断然高いわけで…。

 背中越しに触れる肌の感触を意識してし

まう方がよほど問題だ。


 甘いかどうかなんて無意識なんだし、自

分の匂いが甘いかどうかんて俺に分かるわ

けないじゃないか!


 さっさと諦めて腕を解いてほしい。

 こんなところ誰かに見られたらなんと言

い訳すればいいのか。





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あきゅろす。
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