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悪魔も喘ぐ夜 Character Episode
*



「え?」


 思わず聞き返してしまった。


「だから…入部届け出してきたんで、これ

 からよろしくお願いします、片岡先輩」


 目の前にはいつかの桐生弟と空気。

 仮入部期間が明けた翌日は新しく入部し

た新入生との顔合わせを兼ねて全部員に放

課後は部室に集合するようになっている。

 ここにいるってことは入部届けを顧問に

出した時に言われたんだと思うけど…。

 あの莉華の暴走を見てドン引きしていた

からもう来ないと思っていたのに…。


「一応確認するけど、部長はあの莉華だけ

 どいいの?」

「まぁ慣れるかなって」


 危機感の欠片もなく呑気な桐生弟。

 甘いわよ、弟…と心の隅で憐れみに近い

感情が生まれる。

 毎日通学で使っている電車で男子学生グ

ループを見かけることがあるんだけれど、

彼らが立ったまま話したり、ふざけてじゃ

れ合っているのを見て目をキラキラさせる

のが莉華。

 氷の王子とセットで何を妄想するか…言

われなくても分かってしまう。


「それに…ここだけだったんですよね、俺

 が生徒会長の弟だって分かってもガッカ

 リされなかったの」


 あははと笑う声が弱い。

 頭を掻く桐生弟の笑顔の影にあるものが

チラリと見えた気がした。

 …まぁあの兄をもって比較されて露骨に

ガッカリされたら傷つくわよね…

 莉華に対するいつもの癖でついつい手が

出て頭を撫でてしまった。


「あの…?」


 戸惑いながらも嫌そうなそぶりはない。


「苦労してるんだなぁって思って」





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