悪魔も喘ぐ夜
*
「ったく、もう…」
ブツブツと文句を言いながらも、仕方な
く乱された髪を手櫛で整える。
「そっちも…」
それを特に表情を浮かべるでもなく見て
いる加我が指さして教えてくれる。
「こっち?」
「うん」
クラスの喧噪の中でも本当に加我は静か
だな、と変なところで感心してしまう。
よくも悪くもマイペースなのだろう。
「あっ!桐生っ!!」
クラスの中でも一番元気のいい声が響い
たと思ったら、髪を撫でて直している最中
に後ろから羽交い絞めにされた。
「うわぁっ!?」
「おっはよー!!」
およそ力加減を知らないというか、遠慮
なんて単語を知らない腕がぎゅうぎゅうと
首を絞める。
これで悪意が欠片もないのだから困る。
「りょーたっ!くるし…っ!」
その腕をバシバシ叩いてタップをアピー
ルする。
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