悪魔も喘ぐ夜
*
3分間に何を考えていようか考えようと
したのに、鼻先が触れそうな距離まで兄貴
が顔を近づけてきて視線を反らせない。
耳の奥では煩いほど心音が響くのに、目
を反らしたら負ける気がして思わず睨みつ
けてしまう。
あと、何秒…?
目線を反らせないから確認は出来ない。
じわじわと唇が掠めそうな距離まで兄貴
の唇が近づいてきて余計に落ち着かない。
するならさっさとしてくれっ!
もはやまな板の上の鯉の心境でギュッと
目をつぶった瞬間に唇が押し当てられた。
ほぼ同時に胸にも兄貴の掌が触れ、手探
りで突起を探すように肌の上を滑る。
掌が突起を掠めた瞬間に小さく声を上げ
そうになって慌てて奥歯を噛んだ。
俺の唇の間に割り込ませようとしたのだ
ろう舌は数回繰り返して唇が開かないと察
したのか離れた。
「口を開きなさい、駆。
ペナルティー1分です」
「なんでっ!」
突起を指先で弄りながらも、苛立った兄
貴に反論する暇を許す気はなかった。
叫ぶようにいいつっかかった俺の顎をガ
ッチリと掴んで固定するとそのまま舌を差
し入れてくる。
「んんっ!」
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