悪魔も喘ぐ夜
*
「何故ですか?
他でもないこの僕を、一生奴隷にできる
んですよ?
もう二度とこんなチャンスありません」
「俺はっ!
兄貴が奴隷になっても嬉しくないっ!
兄貴こそ俺が奴隷になっても嬉しくない
だろ!?」
「いいえ?嬉しいですけど」
…サラッと言い切った。サラッと…。
しかも真顔で…
もう驚きも怒りも通り越して脱力した。
どこに自分の弟を本気で奴隷にしたがる
兄貴がいるのか。
「いいでしょう。わかりました。
じゃあ駆がフェアだと思う対価を提示し
てください」
…自分の条件を引き下げるという選択肢
はないのか。
「嫌だ。
まず内容が気に入らない。
賭けのルールも気に入らない」
負ける勝負は受けない。
勝てる勝負しか仕掛けない。
兄貴は昔からそういう性格だ。
だから、俺が内容を根こそぎ変えてや
る。
それで兄貴の気を削ぐか、俺が絶対に勝
てる賭けに変えてやる。
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