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悪魔も喘ぐ夜
*


 相変わらずヘッドフォンから聞こえ続け

ている喘ぎ声はもはや遠く、緊張や動揺が

体の熱を追いやって下半身も落ち着こうと

している。

 なのに、こともあろうか兄貴の手が先走

りで先端が濡れたものを掴んで様子でも見

るようにゆるゆると扱き出した。


「あ、兄貴っ…?」


 動揺が混乱に変わる。

 いつもであれば冷ややかに怒るか、それ

に相当するダメージを負わせる嫌味で針千

本か…そんな性格だ。

 ストイックで性欲なんて欠片も匂わせた

こともない。

 そんな兄貴が今なにをしているのか?

 もう頭がついていけず下手に動けない。


 装着していたヘッドフォンの片方を少し

ずらされ、耳元に兄貴の吐息を感じた。


「駆ももうそんな年頃なんですね。

 いいですよ。僕が教えてあげますから」


 何を言っているのか。

 思考が追いつくより先に耳の縁を生温か

い舌に嘗められてビクッと震えた。

 それを皮切りに兄貴に扱かれているそこ

に意識が集中し、中途半端にされていた体

が与えられる刺激を快楽と認識し始めた。


「あっ…兄貴、ダメだって…!」


 先走りに濡れて滑りがいい指先に扱かれ

てあっという間に下半身が熱を振り返し再

び先走りが滲み出すけれども、こんな状況

で心なしか機嫌良さそうな声音の兄貴が俺

の中で不安を駆り立てた。


「ダメと言われても、ね…。

 このまま放り出してもどうせ場所を変え

 るだけでしょう?」


 反論できない。

 でもそういう問題じゃない。

 いや、でも兄貴本人がそれでいいならい

い…のか?


 急速に高まってくる熱に思考の先を奪わ

れ考えがまとまらない。





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