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悪魔も喘ぐ夜
*


 唇が重なると閉じていた唇を開いて唾液

に濡れた兄貴の舌を迎える。

 あんなにも舌を入れられるキスが嫌だっ

たのに、そんなの嘘みたいに体は兄貴の舌

を受け入れた。

 兄貴の舌は歯列から内側の粘膜から、く

まなくその舌で丁寧に舐めまわしていく。

 その舌が触れた粘膜がじんわりと染み入

る快楽を受け止めて、キスの合間に震える

吐息を逃がす。

 いつもとは違う優しいキスに戸惑いなが

ら、触れるだけでなくちゃんと唾液が欲し

いと時折その舌を吸って返す。

 しかしまだ足りないと思うのか、兄貴は

丹念に口内を撫でるだけで一向に唾液をく

れない。

 じわじわと効いてくる唾液の効果は触れ

ていない高ぶりには十分な刺激だったけれ

ども、唾液が少ないのかそれとも俺の体が

慣れてしまったのかそれだけでは足りない

ようで。


「んっ」


 兄貴のシャツを掴んで、唾液をせがむよ

うにしてハッキリとその舌を吸う。

 とろりと流れ込んだ唾液を舌の上で転が

している間に、すっかりと無防備になって

いたそこに再び圧迫感が戻ってきた。


「んぅっ?」


 先ほど唾液を纏った指で慣らされたそこ

は苦も無く受け入れてしまったけれども、

あんなに唾液を出し渋っていた兄貴の唇が

今度は俺の唇を離してくれない。

 ゆっくりと押し入ってくる指先に戸惑っ

ている俺の舌を絡め取って零れた唾液ごと

吸い上げてくる。

 舌を吸われてボーっとなっている隙を突

いて深くまで到達した指先にあの場所を擦

られた。


「んっ、んぅっ」


 そんなところを弄られたらキスしながら

イッてしまうと兄貴の胸を叩いたけれど、

兄貴の指先は追い立てるようにして早くな

っていく。

 その指先から逃れられない下半身は、そ

の指を深々と咥えこんだままたまらないよ

うに腰を震わせる。

 反り返った高ぶりから白濁を放ってしま

いそうで慌てて根元を締めるけど、揺れる

腰は俺の意志に反して達してしまいたいと

出口を求めて抗う。

 欲求不満な体には快楽が深すぎて、それ

なのに出口を塞がれて暴れる熱が目尻から

雫を溢させる。


「んッ、ふぅ、んぅッ…」


 イキたい。でもイけない。

 二つが頭の中でせめぎ合い、それでも煽

られる体が出口を失ったまま登りつめてい

く。

 兄貴の舌と深くまで咥えこんだ指先に追

い立てられるようにしてガクガクと腰を揺

らしながら思考が真っ白になっていく。


「んんッ…!!」


 逃れようのない快楽に責め立てられた体

は根元を締められたまま一滴も白濁を溢す

ことなく達した。

 塞がれたままの唇の端から兄貴が吸い込

みきれなかった唾液を溢し、高ぶったまま

のものからは大量の先走りを溢していたけ

れど、それでも白濁したものは一滴も零れ

ない。

 もうキスどころではなく、荒い呼吸を繰

り返す俺の唇をようやく解放した兄貴は口

の端から零れた唾液も丁寧に舐めとる。


「はぁっ、はぁっ…」


 根元を締められたままの高ぶりはまだ勢

いをもったままだけれども、それを見下ろ

して兄貴は呆れたような溜息をついた。


「…強情ですね。

 うっかり達してしまっても、見なかった

 フリをしてあげたのに」

「そんなわけ、いかないだろ…っ」


 すっかり快楽で濡れる目で兄貴を睨む。

 高ぶりはまだそそり立ったままだけども

腰は達してしまった時のようにぐったりし

ていて、悩ましげに吐息を逃がす。





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あきゅろす。
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