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悪魔も喘ぐ夜
*


「そもそも身体チェックなんて言いながら

 好き勝手触らせているんでしょう。

 それが誰にも手出しさせないという約束

 に抵触しないのであれば、僕にだって身

 体チェックをする権利があるはずですよ

 ね」


 ギクッと体が震えた。

 あくまでさりげなくを心がけて言ったの

に、兄貴は既に気づいていたというのだろ

うか。

 全てを明かした夜に、特にその話題に触

れなかったから安心していたのに。


「自慰が出来ないのなら誰かに触れられて

 しか発散できない。

 しかし誰にも触れさせないという約束を

 守る為にそれに耐えられると言うのであ

 れば、本当に誰にも触れさせていないの

 か僕に証明できるはずですよね?」


 背中を向けたまま否定しない俺の態度を

肯定ととったのか、兄貴は振れていたまま

の尻のラインを掌でなぞる。

 たったそれだけなのに、午前中に中途半

端にされたままだった下半身がピクッと反

応した。

 クロードだけでも辛いのに、兄貴にまで

あんな際どい悪戯を許さなければいけない

のか。

 考えるだけで憂鬱…なはずなのに、それ

に反して鼓動はスピードを速めていく。


「どうしたんですか、駆。

 本当に何もされていないなら、僕にだっ

 て証明できますよね?」

「だって…兄貴にまでされたら、俺っ…」


 “耐えられない”

 その一言が口をついて出てしまいそうだ

った。

 昼も夜も中途半端な快楽でイクこともで

きずに煽られ続けたらどうにかなってしま

う。

 それはもしかしたらイかされまくってい

たあの時より辛いかもしれない。

 中途半端にするくらいなら、いっそ全部

吸い出してほしい。

 空っぽにされ続けるより、吐き出すこと

もできずに弄ばれ続ける方がよほど辛い。


「あの男に許せて、この僕に許せないこと

 なんてないはずですよね?」

「ぁっ」


 言いかけて黙っていたら、兄貴の声が耳

元で響いてシャツの上から突起を摘み上げ

られた。

 苛立ちのせいか不躾な力加減で捻り上げ

られて体が震える。

 嫌だとか出来ないとか、そんな返事は許

されない空気が俺の上にのしかかってくる。


「自分で拡げて僕に見せなさい。

 本当に何もされていないなら見せられる

 でしょう?」


 有無を言わさぬ言葉が降ってくる。

 チラリと振り返って無言で見上げてみた

けれど、もう兄貴の顔は俺の言い分を聞い

てくれる顔ではなかった。

 クロードとの約束の為に拒否できない身

体チェックだけど、チェックとは名ばかり

の悪戯を許してしまっている負い目がある

から兄貴に否とは言えない。

 本当に何もされていないなら見せろと言

うのならば、見せて証明しなければ兄貴は

絶対に信じてくれない。

 しばらく言い逃れを考えてみたけれど兄

貴を納得させられるだけの言い分なんて思

いつかない。

 観念して体の上にかけた掛布団をどける。

 脱ぎかけだったズボンのせいでもたつい

たけど、兄貴の方に尻を向けたまま四つん

這いになって尻の肉を自分の手で左右に割

り開く。

 肌を引っ張られるようにして晒された蕾

はヒクッと小さく震えて、未だ熱の余韻を

持て余していた高ぶりまで兄貴の目にとま

っただろう。

 
「本当に使わせてないんですか?

 随分と物欲しそうですけど」

「そんなわけないだろっ」


 羞恥を堪えて中途半端なままになってい

る股間を晒したのに、咎めるような声が降

ってくる。

 恥ずかしいやら悔しいやらで噛みつくよ

うに言い返したけれど兄貴の声は返ってこ

ない。





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あきゅろす。
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