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悪魔も喘ぐ夜
*


「じゃあ次の質問いきますね。

 白浜先輩は部活以外で何か運動してます

 か?

 体動かすこととか」

「毎朝のジョギングとチビ…子猫の遊び相

 手かなぁ。

 ちっちゃいのにさ、コロコロして可愛い

 んだ、ウチのチビ」

「へぇ。白浜先輩って猫飼ってるんですか」


 ある日の放課後、加我と俺は新聞部の取

材で陸上部2年の白浜先輩のところまで話

を聞きにきていた。


「うん。茶トラの子猫なんだ。

 最近やっと猫じゃらしに反応するように

 なってさ、これがすっごく可愛いんだよ」


 地区予選を控えている白浜先輩に意気込

みとかプライベートな話を聞いて記事にす

る…それが加我と俺に与えられた次の学内

新聞の仕事だった。

 子猫の話へと進んだ白浜先輩は目尻を下

げて猫トークを始め、相槌を打ちながら聞

く限りでも溺愛している子猫がいることが

窺い知れた。

 白浜先輩のプライベートな一面はもうこ

れで決定だろう。


「なるほど。

 もしよければその話も記事にしたいんで

 すけどいいですか?」

「オッケー」

「写真はどうする?」

「あ、あったほうがいいかもな。

 女子が喜びそうだし。

 先輩、今度写真撮りにお邪魔してもいい

 ですか?

 1枚撮らせてほしいんですけど」

「じゃあ部活がない日にでも」


 写真の件を快諾してくれた白浜先輩と日

取りについて話していると、放課後の俺達

しかいない教室にもう1人入ってきた生徒

がいた。


「もう終わった…?」

「沙耶…先に帰っていてよかったのに」


 陸上部で日焼けし健康的な白浜先輩とは

対照的に物静かで大人しそうな女生徒。

 どうやら知り合いのようだ。


「猫缶、一緒に選びたいから。

 アキラが終わるまで待ってる」

「そっか。

 …えっと、もういいかな?

 チビが待ってるし」


 愛猫の姿が脳裏を過ったのかそわそわし

始める姿は男勝りと有名な白浜先輩とはち

ょっとイメージが違って微笑ましい。

 自然と表情が綻ぶのを感じながら、もう

質問したいことは聞き終ったからと頷いた。


「はい。

 取材受けてくれてありがとうございまし

 た。

 来週の水曜日の放課後にカメラ持ってま

 た伺います」

「うん。じゃあな、1年。

 沙耶、帰ろうぜ」


 既に鞄を掴んでいる白浜先輩が友達と連

れ立って帰るのを見届けてから、取材した

内容を忘れないうちに詳しくメモにおこす。

 あとは記事の文章を練りながら、後日写

真を撮らせてもらえれば完成するだろう。





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あきゅろす。
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