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悪魔も喘ぐ夜
*


「イクッ、もうダメッ、もうッッ…!!」

「何度でもイッていいよ?

 お兄ちゃんが気持ち良すぎて失神しちゃ

 ったら、ぼくが全部飲んであげる」


 失神するまでイキ続けさせてあげる。

 麗の声が脳を溶かしていく。

 同時に限界を訴える意識が白み始めた。


「もう限界?

 でもこれだけは忘れないでね。

 お兄ちゃんをこんな風に気持ち良くして

 あげられるのは、世界中でぼくだけだっ

 てこと」


 意識を手放す直前、全てを見透かしたよ

うな麗の声が耳を撫でた。





「やれ…れ、こ…った…だ。

 こん…ことをし…ては、遠…らず…して

 しまうよ?」

「でも…の思い…りになんて…にさせない。

 お…ちゃんは絶対に…したく…い」


 長すぎるオルガズムの末に手放した意識

が戻ってくる。

 遠くで誰かが離している声が聞こえるよ

うな気がするけど上手く聞き取れなかった。

 意識が戻っても体の中に残る快楽の残骸

は深く爪痕を残していて、すぐには起き上

がれないし何かを考えることさえままなら

なかった。


「だがこのままお前が…い続ければやがて

 は…する。

 お前がしている…はそういうことなんだ

 よ?」

「それは…解ってる」


 ぼんやりとした意識がようやくしっかり

としてきた。

 話し声がクリアになっていくと同時に声

の主はどちらも聞き覚えのあるものだと言

うことがわかる。

 1人は麗。

 もう1人は誰だったか…。


「でも、もう決めたんだ。

 お兄ちゃんをこの手で守るためなら、ぼ

 くは何でもする。

 卑劣な手で奪おうとする人に容赦なんか

 しない」

「ヒャッヒャッヒャッ…。やれやれ。

 頑固なところは母親譲りかねぇ」


 このしゃがれた声、どこかで…。


「おや、夢の主がお目覚めだよ。

 これ以上負担をかけるわけにはいかない

 ねぇ。

 毎夜吸われているのでは、もう体も限界

 だろうよ」

「お兄ちゃんっ?」


 遠くにいた声が近づいてくる。

 恐ろしいほどに気だるい体は起こすのも

億劫で、ゆっくりと瞼を持ち上げると麗の

心配そうな顔が視界を埋めた。


「麗…」


 喉が渇いているのはさっきまで喘いでい

たからなのか。

 雲の上にあずけた体は鉛のように重かっ

た。





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