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悪魔も喘ぐ夜
*


「あっ、やだあぁッ!

 イクッ、イクぅッ…!!」


 逃れようもない指先が腰がどれだけ跳ね

ても的確に奥の凝りを擦り上げて離さない。

 眩暈をおこしそうな快楽に襲われても、

指に阻まれて熱量を発散できない下半身は

ビクビクと跳ねながらそそり立った先端か

ら透明な汁を散らすだけだ。

 もうここが何処だとか、人目がなんて気

にしている余裕もなく甘い悲鳴を上げて腰

を揺らす。


「指ッ、離してッ、お願い離してッ!」


 下半身で吐き出せない熱が暴れ、もうな

りふり構わず懇願する。

 イキたい。

 イッて楽になってしまいたい。

 もうこれ以上我慢なんてできない。

 悲鳴を上げる体が脳まで真っ白く染めて

いく。


「ええの?

 指離したらイッてまうやろ。

 俺とエッチしたいん?」


 まるで狙っていたような声が降ってくる。

 この責め苦から逃れられるなら何でもい

いと、考えることを放棄した体が根元を締

めているクロードの手を掴んだ。


「あれ…?なんや、その指輪?」


 不意に響く声。

 それと同時に体の奥を責めてていたクロ

ードの指先が動きを止める。

 しかし責め苦そのものは終わっても、ま

だ体の奥に色濃く残る熱が下半身を懲りず

に痙攣させた。

 体の奥の熱がようやく収まり、ぐったり

とした腰が再びソファに沈むまでクロード

は俺の高ぶりを指で絞ったまま体の奥を弄

んでいた指を引き抜く。

 その手で俺の右手を掴んで寄せ、中指に

収まっている指輪をじっと睨むように凝視

していた。


「はぁっ、はぁっ…。

 もういいだろ。指、離して…」

「あかん。

 なんやこの指輪?

 まさか誰かからもろた物とちゃうやろ

 な?」


 俺が言いたかったのは今もなだらかな角

度を持っている局所を締める指だったんだ

けど、クロードはすっかりそんなことなど

吹き飛んだように真剣な声音で俺がはめて

いる指輪を睨んだ。


「なんでって言われても…。

 母さんが俺に預けていったんだよ。

 お守り代わりにって」

「なんや、セシリアか」


 クロードの眉間の皺の数が減り、まだ手

首は解放してくれないものの痛い位の力で

掴んでいた手の力が緩む。


「やけど“お守り”?

 護身用とちゃうやろ、これは」

「え…?」


 クロードが何を言っているのかわからな

い。





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あきゅろす。
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