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悪魔も喘ぐ夜
*


 そうして辿り着いたR1ではちょうど4

人になったのでバドミントンをダブルスで

遊ぶことになった。

 バドミントンは使うシャトルも軽いし手

軽にできるイメージはあるけれど、シャト

ルの飛距離や加えられる力加減などを考え

ればしっかりスポーツだよなと思う。

 そうつくづく思ったのは、クロードと高

瀬のペアにことごとく点数をもっていかれ

たからだ。

 遊びだからと緩く構えていたのに、ミス

して変な方向へ飛ばしてしまったシャトル

まで拾われてネットの上を越えてくる。

 シャトルが軽いだけあってよく飛ぶそれ

を追いかけるのだけでも結構動くというの

に、遠くへ飛んだと思ったら今度は手前の

方を狙われたりと全然気が抜けない。

 高瀬は本当に遊び感覚で気軽に打ち返し

てくるのに比べて、クロードが絶対にシャ

トルを落とさない。

 実質的にコートの半分以上をクロードが

カバーしている状態で、しかもストローク

やショットの合間にちょいちょいフェイン

ト技まで加えてこられると必要以上にコー

ト内を走り回らなければならず、軽く運動

しにこようかという気持ちで来たのに気づ

いた時にはすっかり息が上がっていてシャ

ツが背中にはりついてた。


「もうちょっと手加減してくれてもいいの

 にっ…」


 喉の渇きを覚えつつもシャトルを追いか

けて言いながら打ち返す。


「手加減?ちゃんとしてるやないか」


 クロードのほうも軽く息はあがっている

ようだがまだ表情は余裕で、普段からあま

り口数の多くなく加我は黙々とシャトルを

打ち返しているけれど顎から流れ落ちる汗

の筋が決して余裕などないことを物語って

いた。

 せめて1点くらいはとってやろうとショ

ットで打ち返したシャトルを今度は高瀬が

拾い、加我がストロークで返したシャトル

を珍しくクロードが空振った。

 どんなミスショットでさえも打ち返して

きたクロードがあんな楽なシャトルを逃す

はずはないと思っていただけに一瞬ぽかん

としてしまったが、間もなくクロードがこ

ちらに背中を向けながら肩ごしにショット

で打ち返してきた。

 フェイントかと驚いている間にも体は咄

嗟に動けずにシャトルが視界の隅を飛んで

いき床に落ちた。


「あ〜っ、もうっ!」


 あんな余裕ぶったフェイントはまず間違

いなく余裕がないとかけられない。

 それなのに手加減していると当然のよう

に言われ1点もとれないまま走り回らされ

ている現状は面白いはずもない。

 もう疲れたと全身でアピールして床にへ

たりこむ。

 額から流れ落ちる汗を手の甲で拭って息

を整えていると、目の前までゆったりと歩

み寄ってきたクロードに手を差し出され

た。

 もう嫌味じゃないかと思えるくらいの余

裕で、クロードと1:1でなんて絶対にや

りたくないと思う。





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