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悪魔も喘ぐ夜
*


「見る、だけ?

 確認したら、本当に手出ししないでいて

 くれるのか?」


 喉が干上がる。

 うまく声が出ないけど、もう勢いに任せ

るしかなかった。


「多少の触診は我慢してもらわなあかん。

 でも最後まではせぇへんよ」


 そう言ったクロードの顔は悪戯が成功し

た小狡い子供のようだ。


 途中まででもダメだろっ。


 でも仮に形だけとはいえクロードには強

く出られない。

 思わず頬をつねってやりたくなるのをぐ

っとこらえてビニール袋をサイドテーブル

の上に置いた。


「ほな服脱いでベッドに上がってな」

「ふ…服って全部?

 しかも、なんでベッド…」

「当たり前やないか。

 利き手こんなやし。

 最後までせぇへんって言うてるんやか

 ら、別にベッドの上でも膝の上でもかま

 へんやろ?」


 …同じことを言っておきながらあっさり

違えたのがつい先日だったのをすっかり忘

れてるんじゃないだろうか。


 信用できない…けど、こうしないと納得

しないって言うし…。


 顔色は健康そのものだけど全治2週間な

んて診断が下ったのなら、多少のことは大

目にみないといけないんだろうか。

 不信を精一杯視線でアピールしてみたけ

どクロードは涼しい顔を崩さず、そうして

いても無駄だと諦めるしかなかった。

 だったらさっさと終わらせてやるとシャ

ツを脱いでベッドの縁に膝をのせた。


「全部って言うたやろ?」

「っ…」


 クロードの視線がズボンに向かい、もう

やけくそになって下着ごとズボンを脱ぎ捨

てた。


 べ、別に恥ずかしくなんかないっ。

 見るだけだし、すぐ終わる!


 真昼の光の中でなんで俺だけ…と湧き上

がる気持ちを押さえつけてベッドの上に上

がり、クロードと向かい合う形で掛け布団

越しにクロードの足を跨いで座る。

 さっそく伸びてきたクロードの手を思わ

ず体をそらして避けてしまう。

 この手に触れられてはいけないと体がす

っかり防御の態勢に入る。





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あきゅろす。
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