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悪魔も喘ぐ夜
*


『…日、午前9時16分です。

 再生が終了しました。

 もう一度聴く場合は1を、…』


 音声ガイダンスを流す携帯を耳から離し

て時計を確認すると、それは1時間ほど前

の着信だったらしい。


 これ、勝手にかけ直したらまた兄貴がキ

レるんじゃないかな。

 でもクロードのあの言い方だと、本当に

なにするか分からないし…。


 クロードの身の上も心配していたとはい

え、こんな留守電を残されるくらいならい

っそ振り込め詐欺の方がマシだったと思い

溜息をつく。


 兄貴はまだ診察室に入ったばっかだし、

検査に回されたらあとちょっとかかるだろ

うな…。


 検査とか諸々込みでどのくらいかかるの

かは分からないけど、クロードのあの声の

感じではあと何時間も黙って待っていてく

れるのだろうかという不安が先立った。

 クロードが実力行使に出た場合、どうな

るのかと考えるだけで恐ろしい。


 電話だから。かけるだけだから。

 会うにしても今すぐは無理だって言っ

て、待ってもらえばいいんじゃないか。


 とにかく俺の知らない所で実力行使され

て、家族や友達に何かされるのは絶対に嫌

だ。

 電話をかけるだけでいいんだから、まず

は何かされる前に阻止するべきだろう。


 体の具合を聞いて、会いたいって言われ

たら今は無理って言えば、それでどうにか

なるはずだ。うん。


 氷のような兄貴の視線を思い出して折れ

そうになる気持ちを奮い立たせ、履歴から

リダイヤルした。


 プルルルルルッ、プッ


 2回目のコール音にかかるかかからない

かのところで途切れた。

 それなのに電話の向こうの主は一言も発

しなくて調子が狂う。

 なんだか電話の向こうのピリピリした空

気がこちらにまで伝染してくるようだ。


「あ、あの…クロード?」

『駆?今どこで何してるん?』


 電話越しのせいかのか、それとも本当に

イライラしているのか、電話口のクロード

の声が低い。

 ワガママだけどいつも笑っているイメー

ジのクロードだけに、低い声というのはそ

れだけでなんらかのパワーがあるような気

がした。


「えっと、クロードこそどうしてたんだ

 よ?

 昨日ずっと電話かけてたのに繋がらなか

 ったし、心配してたんだ」





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