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悪魔も喘ぐ夜
*


 俺の体の強張りに気づいたのかクロード

が顔を上げた。


「怯えんでええよ。

 確かに俺の言うたことは恐かったかもし

 れへんけど、俺が言うたからそうなるわ

 けやない。

 俺が言うても言わへんでも、それが現実

 なんや。

 俺はかわええ駆がこれから生きていくの

 に少しでも安心できるように手助けがし

 たいだけやねん。

 信頼関係とか恋愛感情とか、そういうん

 は後からでもついてくるし」


 信頼関係はともかく、恋愛感情…?


 聞きながら“え?”って思ったけど、今

は深く突っ込まないことにした。

 素直に帰してくれるというならノーコメ

ントが最良の選択だろう。


「信じてるから…今度は裏切るなよ?」

「だから裏切った覚えはないて。

 まぁええわ。

 駆が俺の所に来るんは時間の問題やし、

 俺は焦ってへんよ」


 俺が必ずクロードの所に行くという自信

がどこから来るのかはわからないけど…今

は何も言わないでいることにした。

 下手に刺激するべきじゃないだろう。


「クロード…そろそろ着替えたいんだけど

 俺の服、どこ?」


 兄貴が何で来るのかは分からないけど、

もういい加減に到着するだろう。

 とにかくクロードに離してもらって身支

度を整えないといけない。


「うん?クリーニングに出しといたで」

「……」


 どうりで見渡してもないはずだ。

 眠っている間に逃げないように…とか考

えたんだろうか。


「ええやん。車で家まで送ってったるよ」


 無言で睨む俺を抱きしめて悪びれもせず

にそういうクロードにはきっと悪気がなけ

れば何をしてもいいと思っているに違いな

い。


「兄貴が迎えにくるだろうからいい…」


 とはいえ、着替えがないとなると本当に

兄貴にここまで上がってきてもらわないと

いけないだろうか。


 さっき着替えを頼んでおいて本当に良か

った…。


 帰ってから何をされるかが非常に心配だ

けど。





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あきゅろす。
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