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悪魔も喘ぐ夜
*


 でも、だからって何をしていい訳じゃな

いっ!


 折れかける気持ちを奮い立たせて、目の

力を強める。


「本当に俺のこと考えてくれてるって言う

 なら、今後一切エッチ禁止。

 変な力を使うのも、家族や友達に手を出

 すのもダメ。

 わかった?」


 俺の気持ちを無視するなら、こっちだっ

て言いたいことを言わなければフェアじゃ

ない。

 俺の言い分を聞いてくれないなら、俺の

気持ちなんて微塵も気にしていない証拠

だ。


「そりゃないやろー。

 家族には生死彷徨うほど吸わせて、恩人

 の俺にはお預けなん?」

「兄貴も、麗も、クロードも全員!

 全員ダメ!!」


 隙を見せたらダメだ…そう考えていたら

口走っていた。

 口走ってからハッとして、でもそれが正

解なような気がする。

 みんなダメなら誰も文句は言わないんじ

ゃないか?

 そうしたら俺だって体が楽だし、そもそ

も変な体質だからって現状に甘んじなきゃ

ならないなんてことはないはずだ。

 考えれば考えるだけそれが名案のように

思えてきて、自然と目に力がはいる。

 この決意を全員に伝えて納得させれば、

まともに歩けなくなるような体調にもなら

ないだろう。


「うーん…」


 おっ、効いてる…?


 珍しくクロードが黙って考え込んでい

る。

 今の内にとクロードの腕の中から逃れよ

うとしたけど、緩みかけていた腕は俺がす

り抜けようとしたらがっしり俺の体に巻き

ついてきた。


「まだ話は終わってないんやけど?」

「とりあえず離せよ!

 ひっついてなきゃ話が出来ない訳じゃな

 いだろ!?」


 耳元にかかる吐息がくすぐったくてジタ

バタと暴れたらすんなりとクロードの腕が

離れた。


「まぁええよ。

 ほんまに誰にも触らせんっちゅうなら、

 駆が俺を欲しくなるまで待ったってもえ

 えよ?」


 今までのクロードからしたら考えられな

いくらいすんなり俺の言い分を聞いてくれ

た。

 その態度がいやに尊大だとか、上から目

線すぎるとかいうのは、驚きすぎて見事に

吹き飛んでしまった。

 先ほどまでの意志の疎通ができない状況

はなんだったのかと言いたい。





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あきゅろす。
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