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悪魔も喘ぐ夜
*


 くちゅくちゅと唾液たっぷりの舌が唇を

舐めまわし、吸い上げながら滑る掌で高ぶ

りを扱いてくる。

 逃れることのできないその手の中で頭を

もたげていく高ぶりに思わず唇を逃がして

空気を吸い込んだ。


「ぼくね…夢の中でずっとお兄ちゃんにぎ

 ゅってしていられればいいって思ってた

 の。

 でも、もうそれじゃ足りないや…」


 “ごめんね?”

 麗の声が切なげに響いた直後に麗の唇が

首筋に触れた。

 くすぐったいキスが肌を這ったと思った

らピタッと止まった肌を痛いほどに吸い上

げられる。


「っ…!」


 こんな不埒なことを誰だと問いただして

やりたいけど、そんな不埒なことをさせる

ほど欲情させているのは自分だと気づいて

居たたまれなくなる。

 結局はこの厄介な体質が全部悪いのだと

答えが出てしまえば、体質を改善するどこ

ろか持て余している俺にはどうすることも

できない。

 結局は現実の世界と同じ、諦めて体を投

げ出してしまうしかないのか…。

 何も考えずに、ただ気持ちいいことだけ

拾い集めれば夢の中のことだ現実には影響

しないと悪魔が耳元で囁く。

 本当にそれでいいのかと自問する声に答

える声はなかった。





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あきゅろす。
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