[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜
*

 コンコン

 明りのついていない部屋、ベッドの中で

うつらうつらしていたらノック音が響い

た。


「………」


 今夜は誰にも会いたくない…。


 だから返事をしなかった。


「駆、入りますよ?」


 ガチャ…


 ドアが開く音がした。

 部屋の明かりがついていないのにも関わ

らず、起きていない可能性すら無視して足

音が歩み寄ってきた。


 会いたく、ないのに…。

 放っておいてほしいのに…。


「駆、夕食できましたよ?」


 まるで起きてるのなんかお見通しです

よ、と言いたげな空気で兄貴は俺が眠るベ

ッドの端に腰掛けて布団越しに手をのせ

た。


「いらない……」


 モゾモゾと動いてベッドの端まで逃げた

のに、兄貴は掛布団を捲って背を向けた俺

の首筋に吐息をかけて唇を押し当ててき

た。
 

「ひゃっ!?」


 驚いて変な声が出た悔しさもあって、キ

ッと振り向きざまに睨んだ。


「なにすんだよっ!いらないって言ってる

 のにっ!」


 こんな時まで盛るなっ!

 空気読め!!


 唸りそうな気持ちで睨んでいると、兄貴

は欠片も気にした素振りを見せずにクスッ

と笑った。





[*前][次#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!