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悪魔も喘ぐ夜
*


「…話はついたようですね。

 ではお帰り下さい。

 調査とやらの話は、こちらでも確認をと

 ってみます」

「お前には言うてへん!」


 二人の声が遠い。


 俺がフェロメニアだから?

 俺が…そんな厄介な体質だから…?


 なんだかひどく疲れた…。


「…お兄ちゃん、大丈夫?」


 ずっと黙っていた麗が腕に触れた。

 心配ないと笑おうとして…上手く笑えな

かった。


 俺がフェロメニアだからこの二人だっ

て…。


 止まらなくなりそうな思考回路を溜息を

ついて中断した。

 目の前では兄貴とクロードが嫌味と皮肉

の言い合いを繰り広げている。


「帰って」


 静かな声だったと思う。

 まるで他人が喋っているみたいな。


「ちょっと今日疲れちゃったし。

 俺も混乱してるから…」


 うん。そうだ。もう疲れた…。


 自分で言っている言葉のはずなのに、そ

れすらどこか遠くて。


「じゃあ、おやすみ…」





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