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悪魔も喘ぐ夜
*


 いやいやいや…。ちょっと待て。

 もし打ち所が悪くて後遺症とかなったら

後味が悪い。

 ここはとにかく説得して帰そう。


 鞄を握り締めた手から力を抜く。


「物騒なこと言うなよ。俺たち従弟だろ。

 そんな睨まなくたって話し合えば何か」

「……お兄ちゃん?何言ってるの?」


 麗がきょとんとして俺を振り返った。


「そうですよ。

 駆まで寝ぼけないでくれますか。

 僕たちに従弟なんていませんよ」


 兄貴まで訝しんで俺を見ている。


 あれ?

 二人とも何言って…。


「え?だって…」

「父さんの兄弟は独身だし、母さんの親族

 には会ったことないよ?

 いったい誰の従弟なの?」

「え?だって母さんの兄弟の…」


 …あれ?母さんから見て誰の子供だ…?

 おかしいな。そんな基本的なこと忘れる

 なんて…


「……そろそろ潮時かぁ。

 まぁええわ」


 混乱する俺を見ながらクロードが肩を竦

めてみせた。

 いきなり何を言い出すんだと、混乱しな

がらも視線がきつくなる。


「親族なんは間違いあらへんよ。

 セシリアに確認してみればええ。

 俺の名前はクロード・J・クラウディウ

 ス。

 クラウディウス家次期当主の息子や」


 名乗ったその顔は自信に満ち溢れてい

る。

 その家の名がどれほどの地位や名誉を示す

ものかはわからないが、その顔を見ればどれ

ほどその名に誇りを持っているのかは窺い知

れた。





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あきゅろす。
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