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悪魔も喘ぐ夜
*


「さて…無粋な方々にはお帰り願いましょ

 うか。

 このあと家族で話をしなければなりませ

 んし、こちらも暇ではありませんから」

「無粋やなんて、結構な言い様やな。

 俺はこないに紳士な対応しとんのに」


 どこがっ!


 しれっと言うクロードを思わず睨んだ。


「紳士でしたら空気を読んで下さい。

 こちらはさんざん探し回って疲れてい

 る。面倒事は遠慮するべきでしょう」

「それより大事な話がこっちにはあんね

 ん。大人しく引き渡してんか。悪いよ

 うにはせーへんさかい」


 無表情と黒い笑顔の間で棘のある言葉

が行き交う。

 立ちこめる空気はどんどん殺気を色濃

くしていき、飛び交う言葉は鋭さを増し

ていく。


「猿と会話する気はありませんよ。

 寝言かと思って聞いていれば、理解力が

 ないようですね。そんな頭の悪い人が駆

 にどんな話があろうと聞く気にもなりま

 せん。お引き取りを」

「半端モンの半魔が純血に楯突くやなんて

 ええ度胸やないか。ちーとばかし痛い目

 にあわへんと解らんようなら容赦せーへ

 んで?」


 一触即発。


 俺は兄貴の鞄を握りしめた。

 教科書やノートの他に参考書やらが詰め

込まれた鞄はずっしりと重い。

 最悪の場合はこれで何とかできないだろ

うか…という考えがチラリと過る。 





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