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悪魔も喘ぐ夜
*


「従弟だし。

 クロードがそう呼べって言った」

「ッ……!」

 まだ何か言いたげだったが、それで押し

黙った。

 そして押し黙って何も答えなかった。

 スルーされたら質問した意味がない。


 …無駄に強気だな、俺。


 他人事のように分析しながらもう一度尋

ねる。


「クロードは、今どこ?」

「職員室。さすがにここに長居しすぎたか

 らな。そのあたりの調整をしていらっし

 ゃる。間もなく戻られるだろう」


 …そうか。もう夕方だった。


 昼休みも通り越して、というレベルの話

じゃない。もう時刻は放課後だ。


「カイルはなんでそんなことしてるんだ?

 拭いとけってクロードに頼まれたの?」

「あの方のお手を煩わせるほどのことでは

 ない。分かったらいい加減に黙れ」

「そうか。ありがとう」

 少なくともクロードに言われてやってい

るのではなく、善意でやってくれているら

しい。

 それがたとえクロードの為でも、俺の為

にもなっていることだからお礼を言ってお

く。


「お腹すいた」


 と、言ってみる。


「いい加減に黙れと言ったはずだが?」


 こめかみに青筋が浮いてそうな声で返さ

れた。


「だって昼食ってないし、俺」


 昼食抜きであんなハードな運動したら、

そりゃ腹も減る。


「口が減らんようだな。それだけ元気なら

 大丈夫だろう。自分で拭け」


 憤慨したいように濡れたタオルを寝転が

ったままの俺に押し付けてカイルは出てい

った。





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