悪魔も喘ぐ夜
*
「そおやなぁ…」
個装袋を破って中から赤い球体の固形ロ
ーションを取り出しながらクロードは考え
込む仕草をする。
「そやったら…俺が満足できたらええよ?
駆の中に挿れんでも満足やって思えた
ら、今日は挿れずに帰したるわ」
“今日は”というのが気になりはした
が、あえて何も言わない。
とにかく今は今日を乗り切ることを考え
よう。
「満足?ってどうやって…」
「聞かれても俺にもわからんわ。
その気になって最後までせずに帰した奴
なんておれへんもん」
まるで今まで手に入らなかったものなど
なかったような顔の前でヒラヒラ手を振っ
ているクロードは無責任なようにも感じ
る。
だが、譲歩を引き出せたのは大きいと喉
の奥に呑み込むことにした。
「…本当、だな?
本当に満足したら、そのまま帰してくれ
るんだな?」
「ええよ。俺が満足したら、な?」
注意深く念押しすると、淀みなく頷かれ
た。
…だったら、頑張ってみようか。
恥ずかしいけど…。
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